「専門家の議論と政治判断をかみ合わせよ」と産経社説

11月13日付の産経新聞の社説(主張)は「観光業への影響を考慮し、経済活動と感染防止の両立を目指すのは当然のことである。政府の感染症対策分科会の尾身茂会長は『対策が十分に実行されないと社会経済活動を抑制しなければならなくなる』と語る」と指摘し、次にこう訴える。

「ただし、医療崩壊までが懸念される事態に対しては、その状況になる前の段階で経済活動を限定し、人の移動を抑制することを、ためらうべきではない」
「西村康稔経済再生担当相は『爆発的な感染拡大にならないようにしなければならないと危機感を強めている』と説明した。5月の宣言解除以降、経済活動の再開に軸足を置いた政府は、変わる勇気を示すときだ」

産経社説は政府に対し、「人の移動制限をためらうな」「変わる勇気を示せ」と呼びかける。そして最後にこう主張している。

「今すぐ、『Go To』を停止すべきだというのではない。これから起こり得る感染状況の変化に、機動的に対応するためには、専門家の議論と政治判断をかみ合わせなければならない」

「かみ合わせる」。感染症の専門家の意見と政府の見解とを足して2で割って判断を下せということなのだろうが、現実はそう簡単ではない。産経社説にはそこを深く分析して主張してほしかった。

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