尖閣諸島周辺での中国船舶の違法航行を許してはならない

11月30日、日本と中国の有識者が日中の課題や問題について論議するフォーラムが都内で開かれた。日本の民間団体「言論NPO」が毎年行っているもので、茂木敏允外相が沖縄県の尖閣諸島の周辺海域で中国当局の船舶が航行を繰り返していることについて次のようなメッセージを寄せた。

「先週の日中外相会談の中でわが国の強い懸念を伝え、こうした行動をとらないよう中国に申し入れた」

菅義偉首相との会談後、取材に応じる中国の王毅国務委員兼外相(中央)=2020年11月25日午後、首相官邸
写真=時事通信フォト
菅義偉首相との会談後、取材に応じる中国の王毅国務委員兼外相(中央)=2020年11月25日午後、首相官邸

この日、日本政府は新型コロナ対策の入国制限措置を緩和する一環として中国との間でビジネス関係者の往来を再開させた。メッセージを寄せた中国の王毅外相は「経済活動の再開の協力を加速させ、経済回復の重要な基礎となると信じている」と語っていた。

中国は日本にとって重要な貿易相手国である。日中間の入国制限措置の緩和は沙鴎一歩も歓迎したい。

このままでは「第二の尖閣」となる恐れがある

だが、尖閣諸島の周辺海域への違法な航行は断じて許してはならない。尖閣諸島は日本古来の領土である。アメリカ政府も日本を擁護している。11月24日の日中外相会談での日本側の懸念に対し、来日した王外相は「日本漁船が頻繁に敏感な海域に入っている」と反論していた。

しかし、実態は違う。中国漁船の保護を名目にして海警局の船舶が日本領海に侵入するケースが大半である。このまま中国の違法航行が続けば、不測の武力衝突すら招く危険性がある。中国の習近平(シー・チンピン)政権はどう考えているのか。

中国の違法航行は尖閣諸島だけではない。日本の排他的経済水域(EEZ)内にある日本海の大和堆やまとたいでも。中国漁船の違法操業が続いている。日本海の大和堆はスルメイカやカニの好漁場で、日本の漁船が割って入ることもできない危険な過密状態になっているという。このままでは「第二の尖閣」となる恐れがある。