豪州のモリソン首相はツイートの削除と謝罪を求めたが…
オーストラリア(豪州)のスコット・モリソン首相が11月30日、中国政府に抗議し、中国外務省の報道官がツイッターに投稿した画像の即時削除と謝罪を求めた。一国のトップが他国にこうした抗議を行い、謝罪を求めるのは異例である。
問題の画像は、豪州の兵士が国旗とみられる布を子供の頭にかぶせ、その喉元に血まみれのナイフを突き付けているように見える。英語で「怖がらないで。われわれは平和をもたらすためにやって来た」との文言も添えられている。
モリソン首相は記者会見で「画像はフェイクだ。偽造されたものだ」と明確に否定し、「非常に攻撃的だ。中国政府はこの投稿を恥じるべきだ。不快で侮辱的行いだ」と厳しく批判した。アメリカのツイッター社にも削除を求めた。
中国報道官はむしろ「固定ツイート」に変更して挑発
ツイッターに画像を投稿したのは、中国外務省の報道官、趙立堅(ちょう・りつけん)副報道局長だ。趙氏は48歳。2010年5月にツイッターを開始し、アメリカを攻撃批判することで注目され、現在のフォロワーは85万人以上となっている。自信たっぷりに声明を発表する彼の姿をテレビのニュースで見たことのある方も多いと思う。
趙氏は問題の画像とともに「オーストラリアの兵士によるアフガン市民や捕虜の殺害に強く衝撃を受けている。われわれはこうした行動を強く非難し、責任を負うよう求める」とも投稿していた。
モリソン氏の記者会見後には、画像を含めた投稿をツイッターのタイムライン上で上部に表示される固定ツイートに変えた。豪州の抗議に反省の色も示さず、さらに愚行をエスカレートさせる行為は、国家間の国際秩序を破壊する。
オーストラリアの国防軍司令官は11月19日、アフガンに駐留した兵士たちが39人の非戦闘員を違法に殺害したとの内部調査結果を発表していた。趙氏はこれを知ってツイッターに投稿したのである。
最近関係が悪化しているオーストラリアと中国の間で緊張がさらに高まる可能性が強い。モリソン氏が今年4月、新型コロナウイルスの発生源について調査を求めたことに中国は反発し、5月以降、一部の豪州産食肉の輸入を停止するなどオーストラリア政府に圧力を加えている。