強硬策を取れば中国の反発が強まり、武力衝突の危険性も

11月16日付の産経新聞の社説は、中国の違法操業の問題をこう指摘する。

「昨年までは主に北朝鮮の漁船が押し寄せ、水産庁や海上保安庁が取り締まってきた。今年は北朝鮮漁船は1隻しか確認されず、8月ごろから中国漁船が急増した。北朝鮮が中国側に大和堆海域の『漁業権』を売却した疑いがある」
「政府は拿捕を含め取り締まりの強化に踏み切り、中国漁船の群れを追い払うべきだ。中国に遠慮することは許されない」

中国を嫌う産経社説だけはある。見出しも「大和堆に中国漁船 拿捕せずに権益守れるか」である。しかし、強硬策を取れば中国の反発が強まり、前述した武力衝突の危険性もある。ここは同盟国のアメリカに動いてもらうなど国際的な圧力を高めていくのが得策だと思う。

批判や非難に中国側は決まって「内政干渉だ」と抗議する

産経社説は書く。

「加藤勝信官房長官は10月の会見で『外国漁船が多数侵入し、違法操業のほか、わが国漁船の安全操業の妨げになっており、極めて問題だ』と述べた。『中国漁船』と明言せず、抗議も、違法操業をやめさせる外交交渉をしたとも言わないのは不可解だ。政府は今月11日の自民党の会合で、海保や水産庁が情報収集や監視能力を強化すると報告した」
「それだけで問題が解決するわけがない。拿捕に乗り出し、中国政府には強く抗議すべきである。それをてこに、不法な『漁業権』売買疑惑の実態解明と中国漁船群の排除を実現しなくてはならない。菅義偉首相は『国民のために働く内閣』の看板を掲げているはずだ。言行一致が求められる」

産経社説は強硬策が好きなようだ。ただし、相手は手練手管の習近平政権である。日本が返り血を浴びないように慎重に動く必要がある。

中国は香港の民主派の活動家や立法会議員への弾圧でも、国際社会から強い批判を受けている。東シナ海や南シナ海ではサンゴ礁のきれいな海を埋め立てて人工島の要塞建設を進めるなどその際限のない軍事的行動が非難されている。こうした批判や非難に中国側は決まって「内政干渉だ」と抗議する。実に盗人猛々しい。