霞が関の働き方改革は、国民のためになる
4.国民にとっての霞が関の働き方改革
これまで述べてきたように、今の官僚たちは、本人たちの意に反して、無駄な仕事に追われすぎていて、国民のための政策を作る能力を発揮することができなくなってきている。
このことは、官僚自身のやりがいがなくなるだけでなく、客であることから逃れられない国民からしたら、ろくでもない商品を押し売りされるリスクが高まることにつながる。そもそも、税金から給料をもらっている官僚たちが、大量のコピーのための深夜残業をしたり、タクシー代を使うことには、誰のためにもならないだろう。
官僚の仕事に影響の大きい永田町も霞が関自身も旧態依然とした文化の中で無駄が多い。国民のための政策づくりと関係のない作業を徹底的になくし、政策の専門家でなくてもできるものはシステム化や外注を進める必要がある。省庁間・部署間の業務量とマンパワーの偏りをなくすための人員配置の縦割りの是正も急務だ。
空いた時間で官僚たちが現場の実態を把握し、政策を考える時間を作れるようにしないと、課題が山積する中で、これからも思いつきの変な政策がどんどん作られるようになってしまう。
霞が関の改革のためには、システム化や外注などの予算も必要だし、何より国会改革が最重要課題だ。だから、霞が関自身の努力も当然必要だが、国民の後押しがとても大事だ。
この問題の背景や改革提言について、官僚の仕事、近年の政治状況の変化にも焦点を当てながら詳しく書いた書籍を出版したので、関心を持ってくださった方はぜひお読みいただければ幸いである。