休職率は民間の4倍、若手の離職も止まらない

メンタルヘルス病休者率は民間の4倍

異常な長時間労働を余儀なくされている官僚たちは、健康を害することも珍しくない。2019年度公務員白書によると、国家公務員の1.39%が1カ月以上の長期休職に追い込まれている。民間企業は0.4%だから、3~4倍の数値である。しかも、この数値は現場の国家公務員を含んでいるので、長時間労働の霞が関に限定するとはるかに高いはずだ。私の実感では、キャリア官僚の1割くらいは休職の経験があるのではないかと思う。

若手の離職

近年、若手の離職が加速していることも指摘されている。今年2月には経済産業省の若手キャリアが1年間に23人も離職したという報道が出た。どの省庁に聞いても若手の離職は加速しているが、私が長く勤めていた厚労省も、近年加速度的に若手の離職が増えており、特に忙しい部署を渡り歩いてきた中心選手の退職が明らかに増えている。今年、内閣人事局が実施した国家公務員を対象にしたアンケート調査によると、30歳以下の若手男性職員の7人に1人が数年以内に退職の意向を持っている。

あまりの仕事量に頭を抱えるビジネスパーソン
写真=iStock.com/taa22
※写真はイメージです

採用予定人数を確保できない省庁もある

採用難

離職者が増えると採用を増やさざるを得ないが、採用難も深刻だ。1996年度にはいわゆるキャリアとなるための1種試験(現在の総合職試験に相当)の申込者数は約4万5000人だったが、2020年度の総合職試験の申込者数は1万6730人で過去最少となっている。キャリア官僚といえば東大のイメージがあるが、東大生の官僚離れも進んでいる。2015年度の東大出身の合格者数は459名(26.6%)だったが、年々少なくなり2020年度には249名(14.5%)に落ち込んでいる。

実務を支える一般職(いわゆるノンキャリアと呼ばれる)はさらに深刻で、今や特別区や市役所よりも人気が低く採用予定人数を確保できない省庁もある。