※本稿は、犬山紙子『すべての夫婦には問題があり、すべての問題には解決策がある』(扶桑社)の一部を再編集したものです。
生理が来ると「今月もあなたは不合格でした」と言われたみたいだった
お話を聞いたのは共働きのケンさん(37)、リノさん(35)ご夫妻。10年前に結婚し、不妊治療を開始するも途中で挫折。その後、お互いが遊びきった後に不妊治療を再開した結果、子どもを授かり、現在は2歳のお子さんがいるそうです。不妊治療は身近になったとはいえ、どんな苦労が伴うのか知らない人も多いはず。ふたりはどのように不妊治療を受けるに至ったのでしょう?
【リノ】結婚するとき、直接「子どもほしいね」と話したことはなかったんですが、「結婚したら子どもがいるのが当たり前」という共通認識はうっすらあったと思います。でも、結婚して3年間子どもができなかったので「一度病院で検査してみようか」という話を私からしました。そこから病院を探して、検査して、夫に精子の検査もしてもらって……。
夫に精子の検査をしてもらうことすら妻にとってハードルが高いとも聞いたことがあります。
【リノ】病院の説明会に行ったとき「夫には内緒で来てる」という人もいましたね。そして治療が始まったのですが、頑張れば頑張ったぶんだけ「これだけやってるんだからゴールが来ないとおかしい」と自分を追い込むような考えになっていって……。病院に行くのは私だし、排卵日に合わせて「この日とこの日、しようよ」と夫に言わなきゃいけないのもつらかった。LINEで言ってみたり面白おかしく言ってみたり、手を替え品を替え夫に伝えてるのに、夫は「今日はちょっと疲れたから」なんて言う始末。でも、この頃はそんな不満を夫にはぶつけていませんでした。そうやって毎月頑張ってるのに、結局生理が来ちゃうと「今月もあなたは不合格でした」って言われたみたいですごく落ち込んで……。
あぁ、とても孤独だ。不妊治療は心身ともに負担があるのに、孤独が重なるとすごくつらいんですね。リノさんの言うとおり、頑張りがそのまま結果に反映されるわけでもないことだから余計に。