前回は「ひとりで頑張ってる感」がつらかった

【ケン】家に帰るとノンアルコールビールと普通のビールが置いてあって、ノンアルのほうが空いてたんですよ。「酒好きの妻がどうした!?」と。妻はもう寝てたんですけど、ゴミ箱に妊娠検査薬が捨ててあるのを発見して、見たら陽性にピッと線が入ってて。

【リノ】翌日自分から言おうと思っていたんですが(笑)。でも、一度目の治療とは打って変わって、夫が自発的にいろいろ調べてくれるようになっていたので妊娠中も心強かったです。たとえばつわりが来たときも、私が情緒不安定になったときも、知識として夫が私の状況を理解してくれていたのですごく助かりました。前回は「ひとりで頑張ってる感」がつらかったので……。一時期は「もう子供はいいや」って思ってたけど、こんなに向き合ってくれるんだってわかると育児もふたりで楽しくできるだろうなという感覚がありました。

不妊治療も大変ですが、産んでからもまた大変。だからこそ、こうして妊娠期間からふたりで頑張ることってその後の子育ての具体的なイメージにも繋がるし、ひいては夫婦円満に繋がる大事な時期なんですよね。

犬山紙子氏と夫・劔 樹人氏
写真提供=扶桑社

【リノ】私は「こうなったらどうしよう」と先を考えすぎて悩むタイプなんですが、そんな“もしも話”を全部聞いてくれたのが嬉しかったです。

相手の話を聞くって大事だけど、正直面倒臭いなと感じることもあるのも事実。ケンさんが疲れてるときも当然あったはずなのに、ちゃんと全部聞いてくれたなんて、すごいなぁ……。

【ケン】「絶対に話を聞く」ということは意識してましたね。妻は口に出して話せばラクになるんだろうなということはわかっていたので。話したいだけの不安もあるんだろうなと。

不妊治療は夫婦間に熱量のズレがあると本当につらい

ケンさんの場合、リノさんの不満爆発を経て不妊治療への当事者意識がガラリと変わったというケースでした。でも、そうならない人も多くいるわけで。当事者意識のない人に、どうやったらうまく当事者意識を持ってもらえるんだろう。

【リノ】一度目の不妊治療がそうでしたが、夫婦間に熱量のズレがあると本当につらいんです。結局どちらもつらくなる。だからこそ、最初の段階でのお互いの意識のすり合わせを大切にすべきだと思います。女性のほうが年齢とか卵子の老化とかいろいろ悩んでしまうと思うんですけど、ナーバスな問題を一番最初にきっちり夫と話し合っておくことをオススメしたいですね。