相手を嫌な気持ちにさせる言葉は“無知”によるもの

今、おふたり不妊治療を経て思うことはなんでしょうか?

【リノ】夫婦といえどやっぱり他人同士なんだなと思うようになりました。最初の不妊治療のときは「お互いのことが好きなんだから、きっと相手も私と同じ方向に同じ熱量で向いているのが当然」だと思っていたんですけど、今思えば、好きとか嫌いとかじゃなくて距離を詰めるためには言葉で説明しなければ分かり合えないよなって。不妊治療している時期にそう思えたから、今は円満に子育てできていると思います。子育てに関しては夫にイライラするというより、社会にイライラしてますね。私が飲みに行くと「夫が子供の面倒見てくれてるんだ、いい夫だね」って言われるんですよ。残業してても「仕事をこんな遅くまでできるなんていい旦那だね」って。そんなことにいつも怒ってますね(笑)。

そういうことって男性だったら絶対言われないわけで……。言ってる本人に悪気はないけど、言うと嫌な気持ちにさせてしまう言葉は大体無知によるものだったりするんですよね。無知だからこそ、世間のバイアスそのままに発言してしまうという。そのほか、言われて嫌だったことは?

犬山紙子氏と夫・劔 樹人氏
写真提供=扶桑社

【リノ】不妊治療中、「子どもができないのはあなたが酒を飲んでるせいじゃない?」と言われるのもムカつきました。そのころ酒量は抑えていましたし……。語弊があるかもしれませんが、当たり前に子どもができた人たちっていうのは「できて当たり前」だと思ってるから悪気なくそういう発言が出てくるんだろうなって。私たちの場合は病院で検査しても子どもができない原因がわからなかったんです。精子や卵管に何も原因がなかったのに子どもができなかったことがとても苦しかったのに、「いっぱいヤレばできるよ」とか「ヤッた後に逆立ちしたらできるよ」って言われることもあって……。「もう逆立ちしたわ!」って返してやりましたけどね(笑)。とにかく、世間はまだまだ不妊を軽く見ているのかなと。

打ち明け話はアドバイスせずに普通に受け取るだけでいい

どう考えても自分より知識のある人に、根拠のないクソバイスをしてしまう人たちがとにかく多すぎ。クソバイスすると気持ちいいですから。クソバイスしたいなら、お金払ってほしいものです。

【ケン】僕も「(妻のお腹を)温めりゃいいんだよ」とか言われたなぁ。

犬山紙子『すべての夫婦には問題があり、すべての問題には解決策がある』(扶桑社)
犬山紙子『すべての夫婦には問題があり、すべての問題には解決策がある』(扶桑社)

【リノ】「靴下を履いたほうがいい」とかよくわからないアドバイスもされましたね。あと、子どもができなくて悩んでるのに「産むなら絶対女の子がいいよ」とか言ってくる人。誰かが「私、不妊治療してるんです」って告白したとしても、その人は別にアドバイスが欲しいわけではないし、同情されたいわけでもないと思うんですよ。

これ! これです。不妊治療だけじゃなくてほぼすべてのことに繋がると思うのですが、誰かが打ち明けた話には「アドバイスせずに普通に受け取る」でいいんだと思うんですよ。打ち明けた先に、普段と変わらない日々があればいい。不妊治療って何も悪いことじゃないのに周りに言いにくいのは「どうせなんか変な反応されるorイヤなこと言われる」っていう世の中の空気のせいですから。話を聞く姿勢でいる、それくらいでいいんだと思うのでした。

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