いい仕事をした部下を褒める

「部下を褒めるのは苦手」というビジネスマンは少なくない。一方、谷本氏は「褒めることについて、ハードルがめちゃくちゃ低いかもしれません」と自己分析する。

「部下にかぎらず、プロジェクトメンバーなどに対しても、小さなことから大きなことまで褒めます。たとえばメンバーが率先して資料をつくって持ってきたら、資料に目を通す前に、率先してつくってきたことに対して、『とてもいいと思う』と素直に褒めます。『ありがとう』『よかったよね』といった肯定的な言葉は、多ければ多いほど人の成長を促すと思っているので」

谷本氏が心がけているのは、従業員を評価する時期である半年や1年に1回といったペースで褒めるのではなく、タイムリーに褒めること。直接会えない場合は、思い出した折に「あのときの発言はよかった」「あの質問は鋭かった」など、すぐにチャットで送っている。

褒めることをよしとする谷本氏の信条は、自社の社風からも影響を受けている。グーグルにはお礼を伝えるシステム、貢献を認めた社員にボーナスを送り合えるシステムなど、同僚に手軽にお礼をするための社内のサイトが存在している。メールを書くより手軽にお礼を送ることができ、さらに可視化されるため貢献が共有化。賞賛が行きかうことで、部門間のつながりが強化される効果もあるという。

面と向かって褒めるのが苦手という人は、社内SNSやチャットツールの「いいね」をクリックすることから始めてもいいかもしれない。

突然ふっかけられた文句に謝罪

思いもよらぬケチをつけられたとき、一体どう応じればいいのか。

「相手がけんか腰で来て、自分も同じモードで返すと、事態は悪化するだけです。怒りの感情が湧いたときは、何も返さずに飲み込んで寝かせるのが得策。一日でもいいので間を置けば、自分も相手も多少は落ち着いてきます。そこで『すみません、配慮が及ばなくて』と低姿勢で応じていけば、こちらの言い分も聞いてもらえるはずです。歯向かわず、でも、言いたいことは言う。それをどう両立させるかを考えます」(堀内氏)

時には上司からの理不尽な苦言もある。堀内氏は、「理不尽な話は後々『予想外で面白かったな』と笑い話になることがほとんど。そのような職場や仕事ほど楽しいという達観した目線を持って、気を静めるのもいいかもしれません」と助言する。

谷本氏は「あなたの行動が不快だ」と突然指摘されて、ショックを受けた経験があると振り返る。