同氏が推奨するのが、会議にファシリテーターを据えること。直訳すると「促進者」で、意思決定することなく、時間管理しながら議事進行に徹する役割だ。終わりの時間が近づいているのに議題がまとまっていなくても、そこまで決まったこと、次回いつ会議をするか、そこで何を決めるかを整理してくれる。

会議がダラダラしてしまったとき、堀内氏は上司がいても自分のタイミングで切り上げてしまうという。

「会議には発散と、集約の2つのステージがあります。発散のステージではどのような意見でもよいので、なるべく発言を促します。大事なのは、その後、集約の流れに誘導すること。まとまりのない議論でも、『とりあえずこうしたいと思います』『混乱してきたので、僕が引き取って考えてきます』など、強引に結論をつくってまとめてしまいましょう。前半に発言を促すことで全員に議論への参加意識も醸成され、独善的とは見られにくいです。むしろ、参加者からは感謝されるし、会議も先へと進みます」

部下のミスを注意

部下がミスしても、頭ごなしに注意することはしないというのが谷本氏だ。

「フィードバックする際、もっとも効果的だと言われるのが、ポジティブ→ネガティブ→ポジティブの順番です。というのも、最初からいきなり追いつめられると、人はそこから心が動かないからです。だからまず、『ミスってあるよね』という共感から入って、どういう思いで行動をしたのか、現状をどう認識しているのか、一回本人の視点で聞いてみます。その後、その行動がどんなネガティブな影響を与えたのか、事実確認してから改善点を説明。最後に『あなたはこういう強みもあるんだから、それを活かしながら、次回はこういうふうに頑張ればいいんじゃないか』と提案しますね」

慎重に接するのは、「注意をすることが目的というより、最終的には相手が前向きに一歩を踏み出せるようにすることが大事」(谷本氏)という考えからだ。

一方、堀内氏は「少し強めな口調で短く叱ること」を心がけている。

「その後はトーンを一気に普通のモードに戻して、後に引きずらないようにしています。僕は部下の意識を引き締めるため、あえて『よく怒っている上司キャラ』でいるのも有効だと思うんですよ。ただ、いつも正論で叱っていると、部下を追いつめてしまいます。だから時には理不尽と思われたり、気分屋に思われるようなスキを残して、酒席でネタにされるぐらいがちょうどいい。結果、ミスを指摘しやすい環境になりますから」