仕事のできる人はメールがシンプルだ。編集者の竹村俊助氏は「わかりにくい文は読者から時間を奪う。一方、わかりやすい文は、読み手に時間のプレゼントをするのと同じ価値がある。だからこそ、文章を書くときは『濃度』を意識してほしい」という——。

※本稿は、竹村俊助『書くのがしんどい』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。

エスプレッソコーヒーとマシン
写真=iStock.com/Rawf8
※写真はイメージです

エスプレッソのような文章を書いてはいけない

わかりやすい文は、ちょうどいい「濃度」である、とも言えそうです。たとえばこんな文はどうでしょうか?

検索技術の進歩、機械学習精度の向上、またディープラーニングの活用等、コンピュータが我々の脳を代替し、かつ超越するような時代が到来している

……って、もうわからないですよね? 「検索技術の進歩」くらいで、もういいや、となります。

これはコーヒーの濃度でたとえるなら「エスプレッソ」を飲まされている感じです。飲みにくい。一口飲んだだけで「わっ、にがっ」となってしまいます。情報が一気に来るので、濃すぎて苦いのです。

この文章はどうすれば適度な濃さにできるでしょうか? まずはきちんと中身を理解して、かみ砕いた表現に換えていきましょう。

難しくなりがちな文章の特徴は、イメージしづらい「熟語」がたくさん出てくることです。例文にも「進歩」「向上」「代替」などの熟語が出てきます。これを減らすだけで、スッキリ見えるだけでなく中身も伝わりやすくなります。

・進歩 → 進んでいる
・向上 → 上がっている
・代替 → 代わりになる
・超越 → 超える
・到来 → 来ている

このポイントを押さえつつ改善していくとこうなります。

検索の技術は、どんどん進んでいます。AI・人工知能の精度も上がってきています。ディープラーニング、つまりコンピュータ自身がより深く学ぶようにもなっています。コンピュータが私たちの脳の代わりを果たすようになってきている。さらには「脳を超える」時代がやってきているのです。