会社員は1人では仕事はできない。経営コンサルタントのパトリック・レンシオーニ氏は「チームで成果を出すためには、それぞれがチームプレーヤーとして『謙虚』『ハングリー』『スマート』の3つの能力をもつ必要がある。そして、この中でも最重要の能力がある」という――。
※本稿は、パトリック・レンシオーニ『理想のチームプレーヤー 成功する組織のメンバーに欠かせない要素を知り、成長・採用・育成に活かす方法』(樋口武志[訳]/サンガ)の一部を再編集したものです。
成功のために必要な資質「チームプレーヤーになること」
ビジネスの世界において――さらに言えば、人生において――成功するために育てるべき大切な資質のリストを作れと言われたら、私は「チームプレーヤーになること」をトップに挙げる。
他人とうまく仕事をし、グループの活動に価値を加える能力は、この流動的な現代社会でかつてなく重要なものになっている。この力を抜きに、職場や、家庭や、社会生活で成功をおさめている人はほとんどいない。
この意見には多くの人が賛成してくれるだろう。だからこそ、優れたチームプレーヤーがなぜか非常に少ないのは少し驚きだ。おそらく問題は、チームプレーヤーになるのに必要な要素を言語化できていないことだ。それゆえ「チームプレーヤー」という概念がどこか漠然とした、不確かなものとなっている。
「チームワーク」についても状況は似ていて、実践的な定義に目を向けるよりも口先だけで重要性が語られることの方が多い。自著『あなたのチームは、機能してますか?』(翔泳社)のなかで、私は真のチームワークに求められる行動を明確かつ具体的に説明した。
その行動とは、弱みを見せて信頼を築き、健全に衝突し合い、進んで責任感を持ち、互いの説明責任を追求し、結果を重視することだ。さいわいにも、十分なコーチングと、忍耐力と、時間があれば、多くの人がこうした行動を習得することができる。