社長就任直後に緊急事態宣言が出た

――社長就任直後、緊急事態宣言が発出された。嵐の中の船出だ。

SMBC日興証券 代表取締役社長(CEO) 近藤雄一郎氏
SMBC日興証券 代表取締役社長(CEO) 近藤雄一郎氏

【近藤】日興證券に入社して以降、株価や金利、為替など、つねに変化するものの中で育ってきた。急激な環境変化に直面すると不安を感じがちだが、大きな変化も本当は小さな変化の積み重ね。「有事のときの雄一郎」と自分で勝手に名乗っているが、今回も変化を前向きにとらえている。

――過去にどんな有事を乗り越えたか。

【近藤】2006年12月に不正会計事件を起こして当時の社長、会長が辞め、翌年2月に私は経営企画部長になった。上場廃止どころか、MRF(証券総合口座専用の投資信託)の解約が殺到すれば、黒字倒産するおそれもあった。不安を感じていた社員は多かったが、新社長がメッセージを出して社員を元気づけて、一丸となって信頼を取り戻した。今回は私も社員やそのご家族に、感謝のメッセージを出した。コロナは必ず乗り越えられると考えている。

――コロナでどのような対応をしたか。

【近藤】お客様と従業員の健康・安全が第一。まず清水(喜彦・現会長)のときに全社員にマスクを配布した。店舗もシャッターを下ろして、約7割がテレワークに移行。出社する社員も、時差出勤で感染リスクを減らす工夫をした。