ドラマ「半沢直樹」(TBS系、日曜夜9時)の世帯平均視聴率が4週連続で22%超えを記録している(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。コラムニストの辛酸なめ子さんは「歌舞伎俳優の激しくエモーショナルな“顔芸”は毎回見もの。また、主要キャストが軒並み名門の暁星高校出身であることも話題になっている」という——。

4週連続で視聴率22%超「半沢直樹」を支える顔芸と暁星学閥

ドラマ「半沢直樹」(TBS系、日曜夜9時)が4週連続で世帯平均視聴率22%超えを記録しました(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。毎回の盛り上がりは、セリフがツイッターのトレンドになるほどです。ネットニュースには現実のビジネスニュースと並んで「半沢“7年ぶり”親会社・銀行に復帰!」などの見出しがおどり、主人公の半沢直樹の言葉に感動する人々が続出しているようです。

先週の日曜日に放映された第4話。半沢が放った「どんな会社にいても、どんな仕事をしていても、自分の仕事にプライドを持って日々奮闘し、達成感を得ている人のことを本当の勝ち組というんじゃないかと、俺は思う」というセリフに、実業家の前澤友作氏もツイッターで「ここで泣いた」と書いていました。

この第4話では、他にも「仕事は客のため、ひいては世の中のためにする」「人事が怖くてサラリーマンがつとまるか」といった、共感を呼びそうなセリフが。仕事観を学べるドラマとしてまじめに観ている人も多いようです。

歌舞伎役者が至近距離でにらみ合い、眉間のしわの動きで威嚇する

会社員経験のない私も第1話から見ていますが、人事とか派閥とか買収といった組織内や企業間のドロドロした駆け引きなどよりも、単純に出演者たちの激しい顔芸が心に刺さりました。お互い至近距離でにらみ合い、眉間のしわなどの動きで威嚇するシーンなど、銀行員のイメージからはかけ離れたエモーショナルな感情表現。冷静沈着なメガネの男性が多い印象でしたが、ドラマの銀行員や証券マンは全く違った人種のようです。

ドラマの舞台となる東京中央銀行には、キャラの立った人がたくさんいます。中でも、半沢の積年の宿敵である大和田暁取締役を演じる香川照之、証券営業部部長の伊佐山泰二を演じる市川猿之助など、歌舞伎界からの出演者が目立っています。

他にもIT企業スパイラル瀬名洋介社長役の尾上松也、金融庁のオネエ系検査官、黒崎駿一役の片岡愛之助など、とにかく濃いキャラが大渋滞しているのですが、歌舞伎役者が入ると華やかさと色気が加わり、さらに顔芸の迫力がドラマを盛り上げます。

一方、半沢が出向していた東京セントラル証券側は、半沢を演じる堺雅人、賀来賢人、及川光博など顔芸的にはクールなタイプが多いですが、顔の筋肉を動かす代わりに目力(とくに堺雅人のすわった上目遣い)で対抗します。

また、銀行側も、三笠副頭取(古田新太)や、中野渡頭取(北大路欣也)のようにポストが上になるほど、あまり顔の筋肉は使わなくて良くなるようです。古田新太のたれさがった顔筋が貫禄を醸し出し、北大路欣也は眉毛をピクッとさせるだけで人を動かす圧力がありました。