北大路欣也 香川照之 市川猿之助…カトリック系名門暁星学園の出身者

第1話からのドラマの展開で特に目立っていたのは、ヒール役の伊佐山部長でした。「ぜってぇに許さねえ! 世界の果てまで追い落としてやる!!」と、戦国武将のようなセリフで、かつて自分の上司である大和田を土下座させたことのある半沢への怒りをぶちまけます。

ただ、IT企業の買収を巡って半沢とやり合い伊佐山部長が「お前も終わりなんだよ!」などと悪い顔で吐き捨てるシーンもあるのですが、私には憎々しいというよりもかわいく見えてしまいます。品格がにじみ出てしまうというか……。どうやらそれは歌舞伎役者のオーラだけではなかったようです。「半沢直樹」には「学閥」が存在する、ということを耳にしました。

北大路欣也、香川照之、市川猿之助、そして賀来賢人が東京都千代田区のカトリック系名門男子校、暁星学園の出身者なのです。頭取・北大路の同窓会会長のような威厳も納得です。

回を追うごとにこうした主要キャストの顔芸が激しく、アドリブも独創的になっていったのは、同じ男子校のノリがあったのでしょうか。同じ学び舎で過ごした先輩後輩という気心の知れた間柄で、放課後のようにふざけ合ううちに、アドリブが加速し、数々の名シーンが生まれたのかもしれません。

「お・も・て・な・し」のパロディのような「お・し・ま・いDEATH!」

そのひとつは第3話でした。香川演じる大和田常務が半沢と再会した時に言い放った「お・し・ま・いDEATH!」のインパクトが大。「DEATH」の「TH」の発音を舌で強調していて、かなりのパワーフェイスでした。

イラスト=辛酸なめ子

しかも首を斬るようなジェスチャーつきです。ちょうど東京オリンピックが開幕されるはずだった時期に、滝川クリステルの「お・も・て・な・し」のパロディのように、「お・し・ま・いDEATH!」とは、五輪の命運を物語っているような決定的なセリフにも聞こえ、不吉さに震えました。

SNSではこのセリフが笑えたと盛り上がっていました。ちなみにこの「DEATH!」はアドリブだったそうです。さらに市川猿之助演じる伊佐山部長が半沢に対して「詫びろ詫びろ詫びろ詫びろ!」と8連発して、歌舞伎のような抑揚で連呼するシーンも圧巻でした。

市川猿之助は、演技について先輩で親戚の香川照之からのアドバイスがあったと情報番組「王様のブランチ」(TBS系土曜9時半)に出演した際に語っています。