「まこ……とに~あい……すい……ません……でしたぁぁ……」
第4話も市川猿之助演じる伊佐山部長は大活躍しました。上司を二重に裏切って、伊佐山は大手IT企業である電脳雑伎集団へ無謀な追加融資を密かに実行していました。これを阻止するため、本来は犬猿の仲であるはずの半沢と大和田が手を組むという想定外のシナリオです。
かわいがっていた伊佐山に裏切られていたことがわかり、大和田が問いつめると伊佐山は「あんたのせいだ。あんたのした土下座のせいだ。くだらん土下座のせいだ! つまらん土下座のせいだ! 土下座、土下座がすべてを潰したんだ!」と得意の連呼技で攻撃。「土下座野郎」とこれ以上ないパワーワードを吐き捨てて部屋を出て行きます。
そのあと屈辱と怒りに襲われた大和田は半沢と結託するわけですが、そこまでに至るシーンも、半沢が大和田の乗った車の前に立ちふさがって「エンジン切れ~!!」と怒鳴ったり、その後、大和田の車が一度走り去ってから高速バックして戻ってきたりと、激しい演出の連続でした。銀行利用者としては、こんな危険な行為が横行する銀行に預金を預けたくない気がしますが……。
第4話のクライマックス。半沢は綿密な調査で電脳の秘密を暴き、会議に乗り込みます。この時、何人もの暁星OBがいる中に入っていく堺雅人は、別の意味でもアウェイ感を抱いていたのかもしれません(せめて暁星出身の部下役の賀来賢人が同行していれば……)。
会議では、融資プランの欠陥を指摘された伊佐山が、結果的に三笠に謝罪を要求されます。「詫びろと言っているんだ、伊佐山!」
三笠に無理やり床に押さえつけられ、片膝を立てて土下座寸前の体勢に。歯を食いしばり震えながら「まこ……とに~あい……すい……ません……でしたぁぁ……」と、憎しみの表情で絞り出した伊佐山。歌舞伎のように大仰なセリフに圧倒されます。
男子校的な世界観、BL(ボーイズラブ)のような側面も楽しめる
さらにその後、東京セントラル証券内で情報をリークし、裏切りを働いた人物を半沢が皆の前で謝らせるシーンがありました。ただし、ここは土下座ではなく90度のお辞儀です。そう簡単には土下座は出てきません。まさに勧善懲悪ですが、悪いことをした人は皆の前で謝らせられるというシーンで視聴者はカタルシスを得られるのでしょう。
謝罪シーンや激しい顔芸、炸裂するアドリブなど見どころが多い「半沢直樹」。ツッコミどころ満載ですが、また別の要素としてBL(ボーイズラブ)のような側面で楽しむこともできます。メインの出演者は男性ばかりで、女性は銀行では出世できないのかというやるせなさを感じますが、派閥意識が強い男性の生態を観察できるドラマです。
誰が誰にかわいがられているかを重視し、威嚇し合う時は顔をやたら近づけてキス寸前の距離感。謝罪した人は、攻めから受けになるという儀式を見ているようでした。これもまた男子校的な世界観なのかと妄想できます(ただ、萌え度は低いです)。
これからもますます盛り上がると予想されますが、伊佐山部長が、今回の失態で出向になってしまったので、顔芸と男子校ノリを担う重要なキャラが次回はいなくなることに……。早くも「伊佐山ロス」になりそうです。