茨城の老舗コーヒー店・サザコーヒーが「消えないラテアート」を実現させた。カフェラテの表面をゼリーで固めることで、デザインが消えないのだ。同社ではアニメ作品とのコラボ商品など、ほかにもさまざまな新商品に挑んでいる。その背景を経済ジャーナリストの高井尚之氏が取材した――。
茨城県・大洗駅前に設置されているアニメ「ガールズ&パンツァー」の看板
画像=筆者撮影
茨城県・大洗駅前に設置されているアニメ「ガールズ&パンツァー」の看板=2018年10月

「消えないラテアート」のコーヒーゼリー

7月17日、サザコーヒー(本店・茨城県ひたちなか市。現在の稼働店舗数13店。1店は改装休業中)からユニークな新商品が発売された。

「カフェラテ アートゼリー」(650円)だ。

全体がゼリー状なので、デザインが「消えない」。製造方法の特許出願中だという。

「よくぞ、ラテアートをゼリーにしたな。すごいです」と大手競合の関係者は驚く。

「ラテアート」とは、バリスタ(コーヒー職人)が「カフェラテ」(エスプレッソコーヒーに泡立てたミルクを注ぐ)を淹れる際に作るデザインのこと。ハートマークやリーフ(葉)の模様が知られる。表面に彩られたラテアートを飲んだことがある人も多いだろう。

新商品「ラテアート コーヒーゼリー」。ゼリー状のため、消えないラテアートを楽しめる
新商品「カフェラテ アートゼリー」。ゼリー状のため、消えないラテアートを楽しめる(撮影=プレジデントオンライン編集部)

きれいに仕上げるのには技術が必要で、上級者ほど、ハートの中に小さなハートを入れた「ハートインハート」など工夫を凝らす。サザコーヒーでは、安優希バリスタ(2019年JBC=ジャパンバリスタチャンピオンシップ4位)が得意とする「あんこうラテ」も、以前に期間限定で提供した。同県大洗町名物の魚・アンコウをかわいくデザインした商品だ。

今回の新商品を企画・開発したのは、6月に新社長に就任した鈴木太郎氏だ。

「最大の特徴は『持ち運びできるラテアート』です。通常のホットドリンクで提供されるラテアートは、時間とともに描かれたデザインも朽ちてしまいますが、ゼリー仕上げにしたため冷蔵もできます」(鈴木氏)

大手チェーンではなく個人店(個人経営の店)だが、南米コロンビアに直営コーヒー農園も持つサザコーヒー。味も「本格派の濃厚なコーヒーゼリー」にこだわったという。

新商品の誕生には、新型コロナウイルスでの活動自粛があった。