コロナ禍でも業績を維持する企業の共通点

コロナ禍でも「業績を維持した企業」を取材してきたが、共通するのは次の3つだ。

(1)その環境のなかで、できることをやり続ける
(2)従来に近い、サービスを提供する
(3)走りながら修正する

この3つを、サザコーヒーの取り組みに当てはめてみよう。

(1)は、これまでも好調だった通販業務の強化だ。外出自粛期間中の4月1日には公式オンラインショップをリニューアルし、「店舗 営業情報」「YouTube Saza Coffee」「オンライン店舗」をサイトのトップページから検索できるように見直した。

(2)は、前述の冷凍モンブランケーキの通販以外に、これまで本店はカフェのみで提供していたケーキのテイクアウトも始めた。競合も行ったが、サザの実績は段違いだ。

「以前からテイクアウトをしていた水戸エリアの3店では、コロナ前の1月が810個、6月が1688個と2倍以上の売れゆきとなりました」(鈴木氏)

テイクアウトでも小さな工夫を重ねた。

「店で食べていただくケーキと、テイクアウト用のケーキの違いを研究しました。例えば、その場で見た人以外も食べるので、安心・安全な素材を使っていることを分かりやすく伝える。よりおいしそうに見せる。包装箱も大切だなと思いました」(誉志男氏)

特に飲食(モノづくり)については、きめ細かいケアが必要だ。

宣伝になるならとにかく果敢にやってみる

一方、オンライン配信(コトづくり)については、拙速を気にしない。

7月24日、オンラインイベント「ラテアート コーヒーゼリーまつり」が開催された。

店舗営業中の本店カウンターに鈴木氏が入り、ホットドリンクのラテアートを自ら製作。これをゼリーにしたラテアートゼリーも披露した。

カフェラテ アートゼリー(提供=サザコーヒー)
カフェラテ アートゼリー(提供=サザコーヒー)

ここまでは順調だったが、以前からメニューにあったコーヒーゼリーをホールケーキほどの巨大なサイズで作り、来店客に配るうちに30分の配信時間が終了。視聴者にはラテアートゼリーの印象が薄れてしまった。とはいえ、興味深く近寄ってきた来店客に、次々にコーヒーゼリーを無料でふるまう“タダコーヒー”の姿勢は伝わっただろう。

プロの制作者が見れば反省点の多い内容だが、「拙速」でも「果敢」に行うのが持ち味だ。

withコロナで、業績の先行きが心配な人も多いだろう。この状況では、サザの取り組みは参考になる。実店舗でもオンライン店舗でも「待っていては、お客は来ない」。興味を持った取り組みは、自社流にアレンジしてはいかがだろう。

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