存在感を徹底的に排除するバイデンの経済政策

7月9日、多くの米国政治ウォッチャーが注目していたバイデン元副大統領の経済政策の発表が行われた。バイデン氏が幼少期を過ごしたペンシルベニア州で行われた演説は、その演説会場に金属工場という舞台装置を選ぶ用意周到さであり、ヒラリーが敗北したラストベルトの工業地帯を強烈に意識したものであった。

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今回の肝心のバイデンの経済政策内容はその方向性を欠く玉虫色の政策だったと言える。筆者はこの政策の出し方はトランプ大統領に対抗するために「バイデンの存在感を消す」という戦略の一環として見事であったと思う。

現在、民主党陣営はバイデンを可能な限り露出させない「バンカー戦略」を取っている。バイデンは演説及び対談中の舌禍や物忘れなどが度々指摘されており、その過剰な露出は現在の世論調査上の優勢を崩してしまう可能性を孕んでいる。そのため、コロナ禍を理由としてバイデンは自宅からのインターネット中継以外はほとんど露出せず、大統領選挙としては異例の静かな選挙戦を挑んでいる。