セールスとは「売る」ではなく「売れる」こと

ところで、「ウリとなるような技術がない。セールスなんてやったことない。それでも副業をしたい」という場合に、多くの人が考えるのが“資格取得”です。「資格を取って、それをウリにしよう」ということですが、資格を取ったからといって、それがすぐに商売になるとは限りません。

「他人との差別化」という意味においては、資格になっている時点で、それはすでにマニュアル化されているのと同じです。現在のように変化のスピードが早い世の中では、資格取得によって得た知識は、瞬く間に古くなってしまう可能性もあります。

たとえば、すでにあなたに見込客がいて、資格さえあればセールスできるということであれば、資格取得は必須です。問題は、今までやってきたこととはまったく関係のない分野の資格をこれから取得しよう、と考える人が多いことです。「会社では研究職をしているけれども、ファイナンシャルプランナーの資格を取ったら使えるかな?」といった資格取得は意味がない、ということです。

「ウリとなるような技術がない。でも副業を始めたい」という人に、私がオススメするのは、セールスそのものを副業にしてしまうことです。「手に職」で勝負をしようと思えば、今から蓄積を始めても、モノになるのに何年かかかります。一方、セールスの場合は、正しい方法を身につけさえすれば、早ければ数カ月後には結果が出せます。

たいていの人は、セールスと聞くと「買わない人をその気にさせる手練手管のこと」だと思っているのではないでしょうか。しかし実際は、「売る」ではなくて「売れる」です。より正確にいうなら、「セールスとは売れる仕組みをつくること」です。

最初にキチンと仕組みをつくりさえすれば、商品は売れるようになります。多くの人が持っているセールスに対する良くないイメージは、世間にあまりにも商品を押し売りしようとするイケテないセールスマンが多いからです。

口下手サラリーマンが副業で独立できた理由

未経験でセールスを副業として始め、2年間で累計1億円の販売実績を上げた後に、サラリーマンを卒業して独立起業した人をご紹介します。現在、私が主宰する副業オンラインアカデミー「The Second Phase(TSP)」の認定コーチである永井優人さんです。

永井さんは大学院を卒業した後、研究職として東証一部上場メーカーに就職。将来的には社長を目指す大望を抱いて、エンジニアとしてのキャリアを順調に積み重ねてきました。ところが、サラリーマンとしての収入の限界を感じたことから、他の収入源を見出そうと書籍を読み漁り、あちこちのセミナーを渡り歩いた後に、私のマネープランコミュニティの会員となりました。

永井さんは、お金の勉強をすればするほど、世の中にはチャンスが多いことを知り、そこで思うように袖が振れないジレンマを感じたといいます。ちょうどその頃、私がそのコミュニティ内で実験的に始めたセールスを教える別のコミュニティの存在を知り、直ぐに名乗りを上げてきました。

もともと、私と初めて会った当初は口下手で、目も合わせてくれなかった永井さんでしたが、ここから変化が始まります。一見、セールスとは程遠いと思われた永井さんがメキメキと成長し、独立を果たすまでになりました。(私が永井さんに伝授した方法論については、拙著『サラリーマンを「副業」にしよう』の中で、詳しく解説しています。)

永井さんのお客さんになった人たちは、古くからの友人や学生時代の同級生、元同僚、知り合いからの紹介や、たまたま飲み屋で隣り合わせた人など、さまざまです。特に強力なコネや、誰かの後ろ盾があったわけでもなく、サラリーマン時代に役職に就いていたわけでもありません。場所も、地方の交通の便があまりよくないエリアで活動していました。

永井さんの初めてのお客さんは、会社の後輩でした。商品に惚れ込み、誰かに言いたくてうずうずしていた永井さんが、仲がよかった後輩に向かって熱く商品について語ったところ、後輩のほうから「自分もそのサービスに申し込みたいです。もっと詳しく聞かせてください」といってきたのだそうです。これが、「売る」ではなくて「売れる」状態です。