サラリーマンが副業で稼ぐにはどうすればいいか。ビジネスオーナーの俣野成敏氏は「ある総務部の社員が社労士の資格を取って副業を始めると、サラリーマンの収入を超えるようになった。自分の技術はそのままに、“顧客を再定義”したのだ」という——。

※本稿は、俣野成敏『サラリーマンを「副業」にしよう』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

ビジネスウーマンがオフィスでコンサルティング
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ネット上の「稼げます!」で、本当に稼いでいるのは誰か

「仕事が忙しいし、時間もないから、手っ取り早くお金が稼げる方法はないかな?」……多くのサラリーマンは、このように考えているかもしれません。

実のところ、世間によくある副業の実態とは、どのようなものなのでしょうか。私が『サラリーマンを「副業」にしよう』を執筆するにあたって、方々に取材を行った際、実際に聞いた生の声をピックアップしてみたいと思います。まずはJさんの事例です。

Jさんは、インターネットで見つけたアフィリエイトの副業で、お金を稼ごうと思い立ちます。自分のブログを開設して、転職の経験をもとに転職サイトのアフィリエイトをしたり、自己啓発系の文章を書き、そこに学習教材の広告を添付したりしました。

アフィリエイト収入は、クリック課金制で、1クリック300円。しかし、書くネタがなくなると、架空の話をでっち上げるようになります。当然、反応は悪くなり、「労力に見合った収入を得られない」と感じたことから、Jさんはアフィリエイトをやめました。

続いて今、流行りのポイントゲットはどうでしょうか? Yさんの事例です。Yさんは、「無料で始めて月に10万円稼げる」という自己アフィリエイトを始めました。自己アフィリエイトとは、自分でサービスに申し込んだり、商品を購入したりすることでポイントを貯め、それを換金するサービスのこと。

Yさんは最初、「報酬が高額だ」という噂のFX口座を開設し、条件の取引を行ったところ、なんと1万円分のポイントをゲットします。これに気をよくしたYさんは、次々に口座を開設しますが、どれも所定の取引を行う必要があり、結構な損失を出してしまいました。

そこで、今度は「有線の資料を請求するだけで、980円がもらえる」というサービスに申し込みます。ところが、先方から確認の電話が入り、申し込むつもりはないと返答したところ、アフィリエイトを完結できず、ポイントゲットとはなりませんでした。結局、自分の時間と手間を考えると、Yさんも、ほとんど稼ぐことができませんでした。

これらの副業は、どれも今、ネット上で「稼げます!」「大金を手にしました!」と宣伝されているものです。しかし私は取材中、「実際に稼いでいます」という人に会うことはできませんでした。こうした商材のすべてがウソではないにしても、稼いでいるのは、他ならぬ情報を流している人たち自身なのです。