アメリカで注目を集めるのは副大統領候補

大統領選挙の世論調査を見ると、20年3月くらいまではトランプ大統領と民主党のバイデン氏の支持率は拮抗していたが、20年5月に入ってバイデン氏が完全にリードした。米国内のあらゆる世論調査でバイデン氏が優位に立ち、州別の分析でもトランプ大統領が有利な州は1つもなくなった。

先の大統領選挙でトランプ大統領の誕生を後押ししたプアホワイト(白人の低所得者層)にしても、この3年半でトランプ大統領に救われたわけではない。むしろ、コロナ不況でアメリカの失業率は急上昇して、プアホワイトの生活はより苦しくなっている。トランプ大統領は20年5月の失業率が改善したことを「アメリカ史上最大の復活」と臆面もなく自画自賛したが、20年5月の失業率は依然として10%オーバーの高水準。このまま大統領選挙に突入する公算が高いが、高失業率を改善できなかった「失業大統領」が勝ったことは、これまで1度もない。

一方、民主党のバイデン氏は、オバマ政権の副大統領として知名度はあるが、失言癖やセクハラ疑惑、外国企業をめぐる息子の汚職疑惑など、すねの傷もある。バイデン氏の場合に注目されるのは、当人のリーダーとしての資質よりも、副大統領候補に誰を指名するかだ。バイデン氏は「女性を選ぶ」と明言しているが、民主党にはカマラ・ハリス上院議員、エリザベス・ウォーレン上院議員など弁の立つ女性が揃っている。77歳というバイデン氏の年齢からすれば、指名された副大統領は、次の大統領の有力候補になるのだ。

トランプ陣営の副大統領候補はこのままいけばマイク・ペンス副大統領になるだろうが、こちらはまったくキャラが立たない。トランプ大統領は自分には手に負えないとばかりにペンス副大統領を新型コロナ担当に任命したが、存在感はちっともない。当然、再選の助けにもならない。

トランプ大統領が約3カ月半ぶりに開いた選挙集会は、空席ばかりが目立った。逆風に吹きさらされる中、「トランプ大統領は常にうまくいかない事業を投げ出してきた。今回の大統領選挙も共和党大会までに投げ出すのでは」という見方をする人さえ出てきている。

帽子から鳩が飛び出すようなマジックでも披露しない限り、状況は反転しそうにない。側近を身内で固めたトランプ再選の目は、限りなく厳しいと見る。

(構成=小川 剛 写真=ロイター/アフロ)
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