潜在市場存在の裏返しとしての「無消費」

クッキングフラワーの開発にあたって日清フーズは、縮小していく家庭での薄力粉購入の問題に直面していた。消費者調査などから日清フーズは、薄力粉の少量使用は省略されがちであることに気づいていた。背景には家事の時短を求めるトレンドがあった。

薄力粉の少量使用を活性化すれば、市場の縮小を食い止めることができるのではないか。無消費(ノン・コンサンプション)とは、潜在市場が存在することの裏返しであり、使われない理由さえ解消できれば、新しい市場の創造につながる。日清フーズはこのように発想して、薄力粉の使用量を増やすための商品開発をはじめた。

日清フラワーをはじめとする従前の薄力粉は、袋ごとキッチンの棚などにしまわれてしまうことが多かった。これを調理の際に、少量使用のためにいちいち取り出すのは面倒だ。

それなら調味料のように薄力粉を小さなボトルに入れ、ほかの調味料のように振りかけて使用するようにすれば、少量使用が手軽にできるようになる。この着眼が、クッキングフラワーを生み出した。

写真提供=日清製粉グループ
薄力粉を小さなボトルに入れ、ほかの調味料のように振りかけて使用するようにすれば、少量使用が手軽にできるようになる。この着眼が、クッキングフラワーを生み出した。

しかし、である。日清フーズはクッキングフラワーの開発に、約3年という意外に長い年月をかけたのである。そこには薄力粉の入れ物を変えるというアイデアだけではすまない、マーケティング開発上の問題があったのだ。