親しい間柄ならではの断り方もある

6.冗談めかして断る

親しい間柄なら、冗談めかして断ってしまえばいい。友人からマラソンに誘われたとき、私は「絶対無理!」と言って断った。友人は「まったく、きみらしい答えだね」と笑ってくれた。普段からエッセンシャル思考をアピールしておくと、こういうときに話が早くて助かる。

7.肯定を使って否定する

喜んで引き受けるふりをして、実は断るという高度なテクニック。たとえば「どうぞ僕の車を使ってください。キーを置いておきますね」。親切な言葉を使いながら、運転は引き受けないという意志をきっぱりと表現している。いくらかは力になりたいが、全面的に巻き込まれたくない場合にきわめて有効だ。

ノーを言うことは優秀な人の必須スキル

8.別の人を紹介する
「僕は無理ですけど、彼は興味を示すんじゃないかな」と言って、別の人にまわしてしまおう。自分を見込んで特別に頼んでくれたと思いたいところだが、実際は誰がやってもいい場合がほとんどだ。

グレッグ・マキューン『エッセンシャル思考』(かんき出版)
グレッグ・マキューン『エッセンシャル思考』(かんき出版)

アパレル大手のアンを経営するケイ・クリルは、社交の誘いを断るのが大の苦手だった。まったく興味のない交流イベントに参加することもしょっちゅうだった。会場に入った瞬間、後悔することはわかっているのに。

そんなある日、信頼する先輩に「断らなければ駄目だ」と言われた。どうでもいい人やイベントを切り捨てて、本当に意味のあることに100%の力を注ぎなさい、と。それを聞いて、彼女は心が軽くなった。選り好みをしてもいいのだ、と思えるようになった。

やってみると、誘いを断るのは思ったより簡単だった。

「何が重要かを考えたら、断ることは怖くなくなりました。もっと早く気づけばよかった」

ノーを言うことは、優秀な人の必須スキルだ。どんなスキルでもそうだが、はじめはうまくいかないこともある。それでも練習するうちに、だんだん技術が身についてくる。試行錯誤を重ね、腕を磨いていけばいい。そのうちに断り方のレパートリーも増えて、そつなく断れるようになるはずだ。どんな相手からのどんな依頼も、上手に断ることはできる。

最後に、ハイドリック・アンド・ストラグルズ社のトム・フリールCEOの言葉を引用しよう。

「われわれに必要なのは、もっとゆっくりイエスを言い、もっとすばやくノーを言うことだ」

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