新型コロナウイルスは私たちの生活を直撃した。今後、同じような大変化が再びやってくるかもしれない。私たちはどう備えればいいのか。ファイナンシャルプランナーの山崎俊輔氏は「これからの結婚では夫婦で異なる企業に正社員で勤めることを前提に考えたほうがいい」という――。(前編/全2回)。
ウェディングケーキのトッパー
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コロナ禍で「お金の生存戦略」を考え直すときがきた

「あなたとお金の生存戦略」――。本連載ではこれをテーマに執筆してきましたが、今ほど「生存戦略」の重要性を感じられる時期はないのではないでしょうか。

新型コロナウイルスの影響で、人々の生活環境は大きく変化しました。

私の知人には、これまで気ままな独身生活を謳歌していましたが、孤独な「ステイホーム」の期間に体調を崩した男性がいます。また、移動が制限されたため、地方に暮らす親、あるいは老人ホームで生活する親・祖父母の様子を見に行くことができず、じっとワンルームの賃貸で過ごす女性もいます。

結婚している人でも、家族内でけんかが続いて逃げ出したくなった人がいます。わが家も1カ月を過ぎたあたりから、こどもの相手と仕事の両立が難しくなってきました。

そして、未婚・既婚に関係なく、多くの人がサバイバルを余儀なくされているのがお金の問題です。雇用と定期的な収入が安定していることのありがたさをひしひしと感じている人もあれば、いきなり収入減となり定額給付金などの手続きに追われている人もいます。

ストレスや苦労は絶えません。しかし、コロナの第2波、第3波が予想されている今こそ、少し先の人生や生き方を考えるチャンスではないでしょうか。そこで今回、10年先を見据えた「あなたとお金の生存戦略」を4つのポイントで考察していきます。

【ポイント1】仕事のキャリア、稼ぎ方の見直し

・あなたのキャリアをどうデザインするか
・共働きポートフォリオをもっと意識する

1‐1)伸びない会社、年功序列にはもうつきあわない

新型コロナウイルスを受けての緊急事態宣言は解除されたものの、テレワークを継続する企業は多いようです。今後、「働き方」が大きく変わる可能性があります。それに伴い、ビジネスパーソンは仕事のキャリア構築について、これまで以上に強く意識しなければならないことがあります。それは、「キャリアは伸ばせるときに伸ばせ」ということです。

アフターコロナにおける企業の人事評価はどう変化するでしょうか。もともと年功序列的な給与の仕組みは徐々にすたれつつありましたが、それに加え、テレワーク中心の働き方が定着すると「拘束時間」の量を給与の根拠としていた発想が薄れ、「業務のアウトプット」の量や質で評価する時代に移行していくと考えられます。ダラダラ残業なども無意味になります。

今後、主流となりそうなのは、より能力主義、実績主義を重視した評価制度です。年齢に関係なく、自らの能力・実績を高めて評価やポストを上げて年収を増やしていく。結果を残す人がより多くの報酬を得る形です。

このとき、私が強調したいのは、旧態依然とした人事制度の会社にいて年功序列の昇格順を待ってはいけないということです。それは人生において時間のムダだと認識すべきです。

もし、あなたのビジネススキルの伸びと賃金の伸びがミスマッチだと思うなら、あなたの能力を適正に評価してくれる企業へ急いで移るべきです。職種としてイヤな仕事に就いている場合や、不向きな仕事に従事させられている場合も、「次の異動まで3年ガマンしよう」など考えず、自分に向いている職種で勝負すべく積極的にジョブチェンジを考えればいいのです。

また、50歳代を過ぎたら、会社の高齢者雇用制度改革などをただ待つだけではいけません。自分が長く働けるキャリアビジョンを考えて行動するべきです。数年後には多くの人が70歳まで働くのが当たり前の時代が到来しますが、それはよりシビアな世界になります。必要とされる人にのみ高い給与が払われることになるからです。

60歳代前半の処遇も現在よりは改善されるでしょうが、「65歳以降働けるかどうか」は、周囲があなたをどう評価し必要とするかにかかっています。