結婚相手選びの基準は「給料の高さ」「外見」ではなく、「共働き」

1‐2)片働き時代の終わり、共働きを前提とする

すでに多くの人が実践していますが、これからの時代はますます「共働き」が中心となるでしょう。夫婦の共働きと片働き(いわゆる専業主婦の世帯)との比率は現在、おおよそ「2:1」です。平成時代が始まったとき、これが「1:2」であったことを考えると約30年で大きな社会的変化があったわけですが、それでも「専業主婦世帯」は3割以上あるわけですし、「非正規で働く共働き」世帯もまだ多く含まれています。

幸せなアジアの新郎新婦
写真=iStock.com/kyonntra
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共働きを前提としていくことはもはや前提です。夫が大車輪の活躍で2人分稼ぐという発想から、夫婦がそれぞれ稼いで合計で2人分を得るという発想にすれば、男性も女性も過度な負担をかけずに働けるようになります。

そして、共働き最大のリスクヘッジは、「いきなり年収ゼロの可能性がなくなる」ということです。働いている会社がいきなり倒産したり、「明日から来ないでね」と通告されたりすると片働き世帯の場合、窮地に立たされてしまいますが、せめて夫婦のどちらかが稼ぎ続けられれば、被害は最小限にでき立て直しも可能です。

これから結婚する人は、伴侶選びの際に、「共働き」という価値観を共有できる人かチェックするべきでしょう。ひょっとすると、「給料の高さ」「外見」などより、「共働き」のほうがより優先度の高い条件となる可能性もあるのではないでしょうか。

共働きは、現役時代だけではなく、老後の安心にもつながります。例えば、国が示している公的年金モデルの年金額は「専業主婦と会社員の夫婦」の数字ですが、「共働き正社員夫婦」であればこれを上回ります。条件にもよりますが、老後の年金収入が年100万円の差になることもあります。ともに正社員として勤務することで、家事育児の分担など、仕事以外の労力が夫婦それぞれにかかりますが、そうした共働きの苦労は「老後」に報われるのです。

正社員夫婦は「異業種」に勤めるとリスクヘッジになる

1‐3)共働きはあえて違う会社に勤めてリスクを分散せよ

今、結婚している共働きであれば、その夫婦は「職場結婚」というケースもあるでしょう。また、以前のように結婚した女性社員に離職を強制するようなことは減っているので、職場結婚した後も夫婦2人とも会社に所属し続けることも珍しくありません。

しかし、これからを考えたとき「夫婦がともに同じ会社で働くことはリスク」でもあることを意識したいです。なぜなら「ふたり同時に年収減」になるリスクがあるからです。

わかりやすい話、勤務先が新型コロナウイルスの影響をもろにかぶって売り上げ減少している場合、夫婦ともに夏のボーナスは期待できなくなります。ところが、夫が「自動車メーカー」、妻が「小売業(スーパーなど)」といった形で違う業種で働いていれば、コロナ禍であっても後者はボーナス増もありえます。

夫婦が共働きをするなら「異業種」で働くほうがリスクヘッジになります。夫婦もどちらかが年収減少にならなければ、比較的余裕を持って危機を乗り越えられます。共働きというリスクヘッジがさらに強固なものになるわけです。

職場結婚をした夫婦はぜひ、どちらかは転職にチャレンジしてみてください。景気が回復し始めたらでもかまいません。なお、このテーマについては拙著「共働き夫婦 お金の教科書」(プレジデント社)でも指摘していますので、読んでみてください。