眉の間を指でほぐすだけでも、少しホッとできる
これでも緊張が抜けないというときは、誰かの手を借りるとよい。まず自分が仰向けになり、どちらか片方の腕を天井の方にまっすぐ上げる。そのあがった手を相手に両手で握ってもらい、あげた腕のほうの肩が少し浮くくらいまで軽く持ち上げてもらって、ゆらゆらと気持ちよく揺ってもらう。相手が揺すりやすいように、自分の腕の力を完全に抜くようにする。
「怒り肩」という言葉もあるが、動物行動学的にも、肩は怒りや権威を誇示する部位だ。怒りを和らげるために肩の力を抜くアプローチもある。ほかにも、愁眉筋が緊張すると、眉間にしわが寄るが、「愁眉を開く」という言葉もあるように、眉の間の力を抜いたり、指でほぐしたりすることで、いくぶんホッとした気持ちになることもある。肩や顔に余計な力が入っていないか確かめるとよい。
不安を感じると、人の呼吸は早くなる
調息:呼吸からのアプローチ
「調息」とは「息をととのえる」こと。長期化するコロナ禍は、まさに「息が詰まる」状況だ。「一息つきたい」と感じている人も多いだろう。不安を感じると「息があがる」というが、実際、交感神経活性と迷走神経不活性が生じ、普段より早く浅い呼吸になり、換気亢進(呼気終末二酸化炭素濃度減少)が生じる。ここでは簡単に実践しやすい息の整え方をいくつか紹介する(呼吸器疾患のある人や不安症の人などは呼吸調整によってかえって悪化することもあるので、ご遠慮ください)。
長息のための呼吸法
多くの呼吸法で共通するのは、吸う息よりも吐く息の大切さで、長くゆっくり吐ききることが強調される。これは「長息」と呼ばれる。実験的にも、早く吸いゆっくり吐くと(吸気2秒・呼気8秒)、ゆっくり吸い早く吐いたり(吸気8秒・呼気2秒)、同じ早さで呼吸したりするよりも、心理的にも生理的にも沈静化させる効果があることが確認されている。呼吸法の頑張りすぎは禁物だが、苦しくない程度に呼気時間を長くするだけでも、副交感神経系は優位になりやすい。