不安な時はゆっくり、憂鬱な時ははやく歩く

歩くペースを変える

座ってばかりいるのも健康には良くない。この10年ほどで、長時間の着座が心臓血管系の疾患などの罹患リスクを高めることも指摘されている。逆に、定期的な運動(例:週3回各30分の有酸素運動)は、身体面だけでなく、不安やうつといった心理面にもポジティブな効果が認められている。新しい生活様式では、スポーツジムの代わりに自宅での運動やジョギングも少人数が推奨されるなどの制約もあるが、歩くだけでも座る時間を減らすことができ、気分を変えることもできる。

歩行姿勢の観点からは、やはり背筋を伸ばした姿勢がよいということになるが、歩くペースを変えるによっても気分をコントロールすることが可能だ。不安を感じたり、浮き足立ったりしいるときは意識して普段よりもゆっくりと歩くことで気分が沈静化し、逆に気が滅入っていたりネガティブになっているときは早足にすることで気分は活性化する。なお、この実験では、一定のテンポを刻むことが気分に影響するのではなく、歩行という動作が重要なことを示す結果となっている。

今この瞬間、肩に力が入っていないだろうか

余計な力を抜く

ストレス状況下では、筋緊張が生じやすい。これまでは職場と自宅が明確に分かれることで、気持ちの切り替えが自然となされやすかったが、テレワークになると、自宅が「会議室」になったり、教員や学生にとっては自室が「教室」になったりする。こうなると、これまでのプライベートな空間が職場や学校となり、ずっとスイッチオンとなったままで心身の緊張状態が続きやすい。

とくに、肩こりの訴えを耳にすることが増えた。いまこの記事を読みながら、肩に力が入っていないだろうか。慢性的な緊張状態が続くと、力が入っているかどうかも気づきにくくなるが、いまの肩の位置よりももう少し下げることで力が抜けるとしたら、肩に余計な緊張が入っていたということだ。緊張しているかどうかわかりにくい場合は、肩をぎゅっとすくめて力を入れて、肩をすとんと落とすと同時に力を抜けばよい。これを何度か繰り返すと、緊張と弛緩のコントラストが明確になることで、リラックスした感じを自覚しやすくなる。