クラスターどころか感染経路にもない

「私たちパチンコ業界は日本全体で9割以上も休業しました。そしてクラスターはなかった。そもそも自粛要請以前からクラスターどころか感染経路にパチンコ店という発表は無かった。これはすべて事実です」

大阪・新世界のパチンコ店で一人、パチンコ台に着く男性
写真=iStock.com/Mlenny
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電話口の声は関東近郊のパチンコ店幹部である。私の高校時代の友人(お互い高校は別)だが、何度か取材に協力してもらっている人だ。彼は勝ち誇るでなく、昔から冷静で、クレバーな彼の言葉は重い。決して浮つくことはない。

私は団塊ジュニアのリアルをテーマに昨年末から今日まで歩き続けた。そのさなかに起きた新型コロナウイルス騒動、私にとってのテーマはコロナ禍の団塊ジュニアに変わった。思えばバブル崩壊と就職氷河期、山一ショック、ITバブル崩壊、リーマン・ショック、東日本大震災と、団塊ジュニアはよく生き延びて来れたものだ。私の同世代の同僚、友人の中には途中でこの世を去った者も少なくない。生き延びても不遇であったり、取り返しのつかない過ちを犯したりした者もいる。この団塊ジュニアの受難のタイミングは。京アニを燃やした男の挫折の繰り返しとシンクロし、そして私自身と男の「逆だったかもしれない」ともシンクロする。彼とも一連のコロナ取材を通して再会した。