日本と世界はそろりそろりと経済活動を再開させているが、実は自粛やロックダウンは不要だったのでは?」という声が相次いでいる。
緊急事態宣言より前に、感染はピークアウト?
5月25日、政府対策本部から、東京・神奈川・埼玉・千葉を除く全都道府県の緊急事態宣言解除が宣言された。約2カ月に及ぶ自粛生活はひとまず区切りを迎えた。世界中の大多数の国々が、強制力のあるロックダウンとは対照的な“自粛”にとどめたにも関わらず、死亡者数を格段に低く抑えたことで、その対応を賞賛する声が相次いでいる。
同時に方々で出始めているのは、この緊急事態宣言が果たして本当に必要だったのか? と疑問を呈する声である。その根拠の1つは、「実効再生産数」、つまり“1人の感染者が何人の感染者を増やすか”を試算したデータ。1を上回ると感染者は増え続けることを意味するこの指標が、実は緊急事態宣言入りした4月7日より前にピークアウトしている、というのが「懐疑派」の指摘するポイントである。宣言を出さなくても、感染者は自然と減っていたのではないか、というわけである。
ひと安心してから「もし宣言を発令しなかったら……」という“if”を問い、検証するのは、当事者の足を引っ張る“後出しジャンケン”に似た嫌悪感もあるが、これは先々のために、必ずやっておかねばならないことである。