米英では「ロックダウンは無意味」の分析も
実は、世界各国で行われた強制力のあるロックダウンについても、「不要だった」とする主張がいくつか見られた。3月16日にトランプ大統領が国民に移動制限を指示、それ以降にニューヨークを始め各都市でロックダウンが始まった米国では、日本を始めとした東アジア地域より格段に多い死亡者を出しているが、4月27日付米ウォール・ストリート・ジャーナルが米国の州別の人口100万人当たりの死者数と都市封鎖までの日数の相関を調査。シンプルながら患者の死亡者数に注目し、「相関関数が5.5%ときわめて低かった」とした。
また、3月23日からロックダウンを開始した英国のイースト・アングリア大学が5月20日付で発表した研究は、欧州30カ国における店舗に対する休業命令等々の対策の効果について、スポーツイベントや学校においては感染者が減るなどの効果があった半面、日を追うごとに感染者数が増加。外出禁止に効果がない可能性を示唆しているという。
ロックダウンとは真逆の自粛のみで乗り切ろうとしていた日本では、皆が新規感染者数の増減に一喜一憂していたが、SNS界隈の一部などでは、そもそも発症率・重症化率も低く、死亡者数が他国と比べて格段に少ないうえに年配層や基礎疾患を持っていた者に偏っていることに注目。高齢者と“病気持ち”のみ行動を制限し、無意味な緊急事態宣言を直ちに解除し経済活動を再開させよ、と主張していた者も賛同者を集めていた。要は感染者が増えようが、「死ななければいい」という割り切りである。
裁判所が開いてないから「破産」できない
自粛とその延長による経済生活の“ヤバい面”は、やはり自粛の期間から始まっている。「命か、経済か」の二択がいわれ、「命」を選ぶのが当然視されていたが、経済を二の次にしても命を落とす者は出る。5月2日、緊急事態宣言を5月末まで延長することが決まった際、ある飲食店関係の経営コンサルタントが激怒してこうぶちまけた。
「『死にたい』と考えている経営者は少なくないと思う。マジメな人ほどそうなりますね。小規模の飲食店舗の経営者か、若くして事業を急拡大した末に、膨大な借金を背負った経営者がそう。自粛さえなくなれば何とか息を吹き返すかもしれない経営者も、延長されたらまずい」
「流行っている飲食店は、1店舗が軌道に乗ったら、その利益をしばらく2店舗目の立ち上げに注ぎ込んで、それがまた軌道に乗ったら3店舗目には1店舗目と2店舗目の利益をつぎ込んで……という具合に大きくしていきますが、そうやって増やした店舗の社員人件費と家賃が、こういう時に一気に“来る”。10店舗、20店舗を持つ経営者が一番辛いと思います」
「ヤバいのは、裁判所が自粛で開いていないこと。破産の手続きができないから、取り立てる側の権利がずっと生きています。それで身ぐるみ剥がされて、更にずっと追い込みかけられる。弁護士にも守れませんし、民事不介入の警察は論外」