「ずっと堅気でやりたかった」元ヤクザの心の糸がプッツリ
また、アングラ経済事情に詳しいある経営者は匿名を条件に、グレーゾーンで今、起きている動きを話してくれた。
「元不良が続々と犯罪に戻っているようです。ただ元ヤクザや元半グレが“前職”にもどるわけじゃなくて、純粋に儲かる犯罪に戻るという意味。もう家族もいるんだし、ゴールデンウィーク明けまで何とか堅気でやりたい気持ちもあった彼らの心の糸が、延長でプッツリ切れた感じ。もう無理、お手上げってところです」
「また“現役”の犯罪者はここぞとばかりにカネを貸して、焦げ付かせた奴を犯罪の先兵にしようとしています。こうして、利益だけで繋がった犯罪集団が膨大に形成されるでしょう。それぞれ仕事単位で離合集散するので、今後はおそらく警察も捕捉できないですね。政治家や官僚は、こういうことすらわからない」
経済活動を止めるということは、こうして社会の底辺の根腐れを進め、ひいては国家の土台を揺るがすことにもつながる。新型コロナウイルス感染症対策専門家会議に経済畑のメンバーが加わったのは、自粛延長後の5月12日になってからだ。ただ、先の国の二次補正予算はそれなりに評価できる規模となった。経営者の方々には給付金などを活用して、何とか命脈をつないでほしいものだが。
宣言せずとも、「グラフ」が必ず下降し続ける保証
5月29日、専門家会議は、この緊急事態宣言についての“中間評価”を披露。「欧米の先進諸国と比較して、新規感染者数の増加を抑制し、死亡者数や重症者数を減らすという観点から一定の成果」とし、同時に、すでによく知られている東アジアにおける死亡者の少なさにも言及している。
さらに、早い段階で中国からの流行を「適確に補足」して急激な感染防止を防止したことや、「感染者の5人中4人は他の人に感染させず、残りの1人のうち稀に多くの人に感染させる感染者がいる」という伝搬の特徴を早い段階で把握、特に感染初期において、接触者をさかのぼってクラスターを制御し、感染拡大を一定程度制御したことが奏功したと分析している。
目にする機会が最も多かった指標「新規感染者数」のピークは、宣言から3日後の4月10日(報告日ベース)だったが、冒頭で述べた通り、専門家会議は「実効再生産数」をもとにした感染時期のピークがそれより9日も前の4月1日だったと推定している。3月末から市民の行動変容などによって新規感染者は減少傾向に転じており、7日の宣言以降は「実効再生産数」が再度反転することなく、ずっと「1」を下回っていたことをグラフで示している。