心理学的には珍しいことではない
緊急事態宣言が出されているのですから、「不要不急の出社は避ける」というのが、ごく普通の判断のように思えます。けれども、なぜか律儀に出社するおじさんは後を絶ちません。いや、おじさんだけでなく、だれでもそういうところがあるのです。これはいったいどうしてなのでしょう。
実のところ、心理学的にいうと、これは別に珍しいことでも何でもありません。自然災害のときを考えてみるとわかりやすいですね。大雨警報が出されようが、避難勧告が出されようが、人間というのは、「まあ、自分だけは大丈夫だろう」「今回も、何とかなるだろう」と甘い判断をするものだからです。
人間は、リスクに関して非常に鈍感なところがあります。ちょっとしたことに対して、いちいち過敏に反応し、怯えていると神経がすり減ってしまいますから、人間の心は鈍感であるように作られているのです。ですから、だれでもリスクの判断は甘いのです。自然災害時に逃げ遅れるのもそのためですし、緊急事態宣言が出されようが、普段と変わらずに出社してしまうのも、そのためです。
私たちは、自分に都合のいい考えを好むものです。新型コロナウイルスへの感染者がいくら増えていても、「それでも自分は感染しない」と考えます。自分だけは特別だと、非現実的な楽観性を持っているのが普通です。