21万人超のフォロワーを持つインフルエンサー大崎博子さん(91)は、亡くなる前日まで日課の晩酌を楽しんでいたそうです。在宅栄養専門管理栄養士の塩野﨑淳子さんは「実際に、ピンピンコロリで亡くなる方は100人中5人、約5%程度。大崎さんがなぜ最期まで元気でいられたのか、そのヒントは食生活にあります」といいます――。

※本稿は、大崎博子・大崎夕湖著『幸せな最期を迎えた91歳ひとり暮らしの食卓』(宝島社)の一部を再編集したものです。

「ピンピンコロリ」した人が食べていたものをプロが分析

まさに“ピンピンコロリ”な最期を体現した21万超のフォロワーを超えるインフルエンサー大崎博子さん(91)。その健康の秘訣は、どこにあったのでしょうか。多くの高齢者の食事を見てきた、在宅栄養専門管理栄養士の塩野﨑淳子さんに、博子さんの食事から見える健康長寿のヒントを伺いました。

私は、地域で介護予防の教室を開催していますが、来られるのは前期高齢者と呼ばれる60~70代の方。みなさん口をそろえておっしゃるのは、「介護を受けるのではなく、(亡くなる)直前までピンピンしていたい」。病気で苦しまず、長らく介護のお世話にならず、長生きしてコロリと死ぬ“ピンピンコロリ”です。

ですが、平均寿命と健康寿命の差は男性で8.7歳、女性で12.1歳あり、約10年の開きがあります。つまり、約10年は介護や病気などの期間があるのが平均ということになります。

実際に、ピンピンコロリで亡くなる方は100人中5人、約5%程度だといわれています。

本記事では、管理栄養士の立場から、大崎博子さんの食生活を読み解き、最期まで元気でいられた栄養のポイントを一部ご紹介します。

「豆腐でタンパク質をとる」もほどほどに…

博子さんの食生活を拝見し、まず素晴らしいと思ったのは、たんぱく源になる食品を毎食必ず摂られていることです。​

それもひとつの食材に偏らず、昨日は鮭で、今日は鶏肉と、毎日同じものが続かないようにまんべんなく召し上がっています。さらに、肉と魚を交互にする、植物性たんぱく質をプラスするなどの工夫も見られます。

高齢になると、たんぱく源として豆腐ばかり食べている方が多くいらっしゃいます。豆腐はやわらかくて食べやすいたんぱく源ではありますが、豆腐だけだと、亜鉛などのミネラルが不足してしまいます。

豆腐
写真=iStock.com/years
※写真はイメージです

亜鉛は高齢者が不足しがちな栄養素で、慢性的に不足すると皮膚炎や味覚障害などのリスクがありますが、意識して摂っている人は少ない傾向にあります。牛肉や豚肉などの赤身の肉や牡蠣には亜鉛が豊富なので、たんぱく質は肉や魚、豆腐などの豆類、とバランスよく摂るようにしましょう。

目安量は、日本人の食事摂取基準2020年版によると、高齢者(65歳以上)では、1日に少なくとも体重1kg当たり1.0g以上のたんぱく質を摂取することが望ましいとされています。体重が60kgの方の場合は、60gということになります。