中学受験が加速する本当の理由とは

文部科学省の「平成30年度子供の学習費調査」の結果によると、幼稚園(3歳)から高校3年までの15年間で子ども1人あたりにかかる教育費はすべて公立の場合で約541万円。すべて私立に通わせると約1830万円。教育費の節約を考えるなら、できる限り公立を選ぶのがよさそうだが……。残念ながら事態はそう単純ではないようだ。40年以上にわたって受験指導を行ってきた西村則康氏は次のように話す。

自宅で勉強する女の子
写真=iStock.com/Hakase_
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「2020年の東京都で中学受験率は全体の約14%を占めます。親御さんが地方の名門高校の出身だと『中学までは公立に行き、高校受験で名門高を目指せばいい』とおっしゃる方も少なくありませんが、関東圏では高校受験が可能な名門私立高校が減少傾向にあります。とくに女子の場合は、上位都立高校の“滑り止め”として受けられる私立学校がほとんどないのが実情です」

中学受験では偏差値50だった学校が、高校受験になると受験生が増えて偏差値70に跳ねあがるのもザラ。さらには、豊島岡女子学園高校などこれまで高校から入学が可能だった中高一貫校で生徒募集を行わない学校も続出している。