対して外資系企業は高学歴者が多い

つまり、日本企業は学部卒で十分。入社後に鍛えれば会社に貢献する人材に育てる自信の現れでもあった。もちろん大企業の中には博士号を持つ人もたくさんいる。しかし、その人たちの多くは入社後に取得した人が多い。しかも博士号取得者の出世コースは限られ、せいぜい部門長止まり。会社の経営層に上り詰めるのは結果的に学卒者というのが日本の実態であった。

もちろん、“低学歴”であっても産業構造の変化に合わせて新たなイノベーションやビジネスモデルを生み出し、グローバル競争に打ち勝つことができれば問題はない。しかし現実はそうなっていない。

対して外資系企業は高学歴者が多い。グーグルは新卒者も採用するが、数年前に取材したときは東大の内定者が6人いたが学部卒はゼロ。全員が情報理工学系や学際情報学府などの大学院卒だった。グーグルは新卒でも即戦力採用であり、採用基準も「知識」「分析力」「リーダーシップ」など専門性も重視する。

グーグルの給与は学歴と経験を考慮

アジア太平洋地区の人事責任者がこう語ったのも印象的だった。

「大学卒や修士号など学位によっても給与は違いますし、大学院に通いながら実務上の経験を積んでいる人もいます。学位と経験のレベルを考慮しながら決めています」

日本企業では大卒と修士卒によって給与は一律だが、グーグルは学位と経験によって個別に給与を決定している。さらに驚いたのはグーグル本社の人事部の3分の1が博士号などの数理の専門家で占められていることだ。人事責任者はこう語っていた。

「人事部門の担当者の33%は数学者あるいは統計学を専門とする科学的な解析・分析スキルを備えたスペシャリストで構成されています。人事制度の仕組みや人事評価がフェアでなければいけません。データを駆使し、評価などの人事政策がうまく機能しているかどうかを検証し、改善を図っています」

ちなみに後の3分の1が人事全般のプロパー、残りの3分の1はビジネスコンサルティングの専門家だという。まさに高学歴の専門家集団で人事部が構成されている。おそらくこの傾向は他の部門でも同じだろう。