今は二階俊博幹事長の懐刀として知られる人物
そもそも武田氏とはどういう人物なのか。福岡県選出で衆院当選6回の51歳。中堅幹部という位置づけた。亀井静香元衆院議員の秘書から国政に転じ、山崎拓元自民党幹事長の側近として名を売り、今は二階俊博幹事長の懐刀として知られる。同じく福岡県を地盤に持つ麻生太郎財務相との対立関係でも知られる。
この経歴からもわかるが、典型的な党人派。政局には強いが、政策通という評価は聞いたことがない。政治とカネなどのスキャンダルの噂もあり、昨年9月、内閣改造で初入閣した時には「新内閣のアキレス腱」とも言われた人物だ。
森氏を答弁に立てたくないばかりに「代役」を仰せつかった武田氏だが、適任者とは言いがたい。そして実際、荷は重かったようだ。少なくとも武田氏は森氏の防波堤にはなれなかった。
検察OBが法案反対の意見書を法務省に提出する動きも
反対の野党はますます勢いづき、与党はさらに苦境に立った。SNSを通じての「#検察庁法改正案に抗議します」といううねりは止まらず、13日には反対の市民が国会周辺に集まり、ソーシャルディスタンスをとりながら無言で抗議する「サイレントデモ」を行った。松尾邦弘元検事総長ら検察OBが法案反対の意見書を法務省に提出する動きも表面化している。
そして15日の内閣委員会には武田氏も加えて森氏も出席して質疑が行われることになった。法案の行方はまだ見えない。しかし、法案の答弁者として武田氏を立てた与党の戦術が適切だったのか、それとも森氏を出したほうが「まし」だったのかは15日に、はっきりする。