プレイガイドを抑えてなんぼ。店の数イコール販売力である。

<strong>橋本行秀●はしもと・ゆきひで/エンタテインメントプラス社長</strong><br>1947年、東京都生まれ。1971年、立教大学経済学部卒業後、西武百貨店入社。本部営業企画室営業開発部、チケットセゾン事業部商品部長などを経て、99年、エンタテインメントプラス設立と同時に副社長に就任。06年より現職。
橋本行秀●はしもと・ゆきひで/エンタテインメントプラス社長
1947年、東京都生まれ。1971年、立教大学経済学部卒業後、西武百貨店入社。本部営業企画室営業開発部、チケットセゾン事業部商品部長などを経て、99年、エンタテインメントプラス設立と同時に副社長に就任。06年より現職。

チケット販売の世界を支配していた商慣習に敢然と立ち向かい、業界の構造を根こそぎ変えてしまったのが、オンラインチケット販売サイト、イープラス(e+)を運営するエンタテインメントプラスの社長、橋本行秀だ。

「販売力というのは店の数じゃない。顧客の数なんですよ。僕はもうずっとそう思い続けてきました」

力説する橋本の言葉には説得力がある。

橋本は、1999年10月末に全国250カ所に開設していたチケットセゾンの店を一斉に閉め、16年の歴史に幕をおろした。これまでとはまったく異なるビジネスモデルを実行に移すためだ。

翌年4月、ソニーグループとの共同出資で設立したエンタテインメントプラスは、イープラス(e+)のサービスを開始。長年親しまれてきたチケットセゾンのブランドを脱ぎ捨て、オンライン販売に賭けた橋本の読みは的中した。

イープラスの会員は2年目に100万人を突破し、直近で640万人に達している。ざっと日本人の20人に1人がイープラスで会員登録をしている計算になる。

「客から手数料は取らない、取れない」の慣習を変えたのも橋本だ。

手数料が取れないならば、客が自ら払いたくなる仕組みを作ればいいと、先行抽選発売のチケットに購買手数料を導入した。同社の売り上げは400億円を突破し、チケットセゾンがずっと果たせなかった単年度黒字化も2004年になしえている。顧客の数こそ販売力だという橋本の信念は証明された。