驚きの対抗策「958億円の資金援助をストップ」

アメリカのドナルド・トランプ大統領の言動には驚かされることが多いが、今回はWHO(世界保健機関)への拠出金の停止である。

世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長(スイス・ジュネーブ)=2020年2月28日
写真=AFP/時事通信フォト
世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長(スイス・ジュネーブ)=2020年2月28日

トランプ氏は4月14日、ホワイトハウスでの記者会見でこう述べた。

「WHOは中国寄りで新型コロナウイルスの対策を誤った。基本的義務を果たすことに失敗した。責任を問われなければならない。資金の拠出を止める」
「WHOが早い時点で中国の感染状況の実態を把握し、不透明さを指摘していれば、感染拡大を抑え込めた。死者を少なくすることができた。今後、アメリカ政府としてWHOの対応を検証する」

検証は60~90日かけて実施され、この間、WHOへの拠出は全てストップされるという。アメリカは2018年から2019年にはWHOの全予算の16%にも相当する8億9300万ドル(958億8800万円)を拠出している。アメリカの底力を示す資金援助の額だ。これだけの資金が消えれば、WHOの活動に間違いなく深刻な影響が出る。

トランプ氏は何を狙っているのだろうか。ここで思い出されるのが、北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長に対する対応だ。