史上初の緊急事態宣言でも、感染者数は減っていない
緊急事態が宣言されてから2週間が過ぎた。法律を根拠に私たち国民に対し、不要不急の外出を自粛するよう強く求め、人と人との接触を最低7割、極力8減らすことで、2週間後には感染者数を減少に転じさせる。これが緊急事態宣言の大きな狙いである。
東京都など7都道府県に宣言が出されたのが4月7日だった。16日には残る40道府県にも発令され、全国が“戒厳令下”に置かれた。
ちなみに2週間というのは、新型コロナウイルスの最長の潜伏期間(12.5日)から設定された健康観察期間をベースに導き出された。
この史上初の緊急事態宣言にもかかわらず、感染者数の増加は止まっていない。
専門家会議も「絶対にあってはならないことだ」と強調
感染症対策の大原則は感染者の隔離である。政府や都道府県が求めている不要不急の外出制限も平たく言えば、人を自宅に閉じ込める隔離である。感染していようがいまいと、すべての国民が長期間にわたって自宅に閉じこもって生活することが完璧にできれば感染は必ずピークアウト、つまり感染者数が大きく下落する。しかし、外出制限が厳格に実行されると、人は過剰に反応してしまい、やがてはパニックを引き起こす。
いま大きな問題になっているのが、新型コロナウイルス感染症の患者・感染者の治療に当たる医療従事者やその家族に対する異常な偏見と差別、嫌悪である。22日に公表された政府の専門家会議の提言でも、感染者や医療従事者への偏見や差別の問題は「絶対にあってはならないことだ」と強調されている。
たとえば子供がいじめに遭うだけでなく、施設から来ることを拒否される事態まで発生している。差別と偏見、嫌悪を抱くことが異常であることに早く気付くべきだ。そして医師や看護師らが昼も夜も懸命に働いて私たちの健康と命を守ってくれていることを思い出し、彼らに深く感謝してほしい。