「正しく怖がる」という点で誤ったメッセージになる

東京オリンピック・パラリンピックが延期になってしまった。大会組織委員会は3月24日に1年程度延期することを決め、30日にオリンピックは来年7月23日、パラリンピックは来年8月24日に開幕すると発表した。

東京五輪が来年7月23日に開幕することが決まり、記者会見の冒頭、マスクを外す大会組織委員会の森喜朗会長=2020年3月30日、東京都中央区
写真=時事通信フォト
東京五輪が来年7月23日に開幕することが決まり、記者会見の冒頭、マスクを外す大会組織委員会の森喜朗会長=2020年3月30日、東京都中央区

これは新型コロナウイルスの感染拡大に対する過剰反応だ。新型コロナウイルスは季節性インフルエンザウイルスと比べて感染力や病原性(毒性)が弱い。だから過度に恐れることはないのだ。

五輪の競技の大半は野外で行われるため、ウイルスの感染は起きない。また室内競技でも密接、密閉、密集の3条件が重ならなければ、クラスターは発生しない。無観客とすれば競技を行うことは難しくない。

さらに気候が温暖になり、湿度も上がっていくと、コロナウイルスの活動は弱まるし、冬に比べて新型コロナウイルスが感染する人のノドの粘膜細胞などが潤ってくる。

オリンピック選手のような通常、普段から健康に気を付けている若い人は感染はしにくい。まれに感染したとしても体調が悪ければ、競技には出場しない。

延期や中止とするのは簡単だ。しかしそれは「正しく怖がる」という点で誤ったメッセージとなり、日本だけではなく、世界中をパニックに陥らせてしまう。

なぜ人々は新型コロナウイルスを過度に恐れてしまうのか。

いま、各国に広がっている異常な規制を見ると、よく分かる。たとえば外出制限だ。これまで実施されたことがない外出制限が唐突に行われると、人々はパニックに陥り、社会は混乱する。