私どものような金沢の田舎から東京に出てきた小さな会社が、電鉄系や財閥系の大きな会社と伍していくには、世の中に何か大きな激震が走らないと。そうでないと既存の大手のほうが絶対に有利です。そうでしょう? 

だから苦しくても気丈に、チャンスが来たぐらいの気持ちで。ダメだダメだとへなへなになっていたら、チャンスは絶対につかめません。自分の人生を変えるのは自分しかいないのです。

私より先に挨拶をするのは至難の業です

運やツキをつかむアウトプット習慣で一番大事にしているのは、とてもシンプルなことですが「笑顔」と「挨拶」。コミュニケーションの土台になるのが笑顔と挨拶だと思います。出社したら部下にも自分から「おはようございます!」と明るく元気に挨拶するのが私の毎日のルーティン。私より先に挨拶をするのは至難の業ですよ。それはもう居合い抜き(笑)、瞬時で決まる。

元谷外志雄氏の『座右の銘』は31個ある。色紙に書く言葉はその日の日付に合わせて選ぶ。
元谷外志雄氏の『座右の銘』は31個ある。色紙に書く言葉はその日の日付に合わせて選ぶ。

ちょっと会釈するだけとか小さい声でボソボソとする挨拶なんてもったいない。人は表情や姿勢、声などでの第一印象で決まるもの。笑顔で元気な挨拶は誰にでもすぐにできるでしょう。迫力のある挨拶で、周りのみんなの元気スイッチをオンにしてあげたら、私自身もハッピーです。

そして、相手を褒めること。私は別に褒めようと思って褒めているわけではなくて、自然に相手のいいところばかりが目に入ってくるんです。

もし、おや? と気になることがあったら、後回しにしないですぐに言う。タイムラグがあると伝わりませんからね。伝えるべきことは新鮮じゃないといけない。ただ、相手に恥をかかせないようには配慮し、フォローの言葉をかけるのも忘れません。あなたを信頼しているという愛情が根っこにあれば、相手にその気持ちは伝わります。

ビジネスの成功も、笑顔があふれていて明るい挨拶と会話がはずんでいるところに来るんじゃないかな。

事業をしていれば日々、24時間、何をしていても気になるのは会社のこと。思いついたことはすぐ口にします。これまでも他のホテルに先駆けたウォシュレットの設置、キャッシュバックシステム、Wi-Fiサービスなど、いろいろなアイデアに挑戦してきました。

「湯ったり日帰りプラン」も私が考えたものです。主婦をしていたころは、子どもを幼稚園に送ったあとに母親同士で喫茶店に寄って、お茶してから帰るのが日常でした。で、この時間をうちのホテルに来てリラックスしてもらえないかな、と思ったんです。ケーキ食べて、ランチ食べて、お部屋も提供して大浴場にも入っていただいて。すると、うちも2回転しますでしょ。

ただ、ホテルには品格と知性が求められます。稼働を上げるために、誰でもいいからと何回転も詰め込むと別の形態のホテルになってしまいますから十分な注意が必要。そこがきちんとできるように、みんながブラッシュアップしてくれたわけです。だから、まずはこんなことできないかなと言葉にする。アウトプットは大事ですね。

(構成=遠藤 成 撮影=岩田亘平)
【関連記事】
京都で起きている新型コロナ「観光崩壊」の悪夢
橋下徹「新型コロナ疑惑の僕が『自主隔離』を決めたレッドライン」
コロナ不況でも、日本の「女性活躍」が絶対に止まらない理由3つ
全ての「頭がいい人」に当てはまる唯一の共通点
"会社に使われるだけの人"に共通する欠点