愛猫がもし家から逃げ出したら、どうやって見つければいいのか。迷子になった動物を探すペット探偵の藤原博史氏が、捜索のエピソードをもとにいなくなった猫の探し方を教える——。
※本稿は、藤原博史『210日ぶりに帰ってきた奇跡のネコ ペット探偵の奮闘記』(新潮新書)の一部を再編集したものです。
旅行中に空き巣が入り、飼い猫が脱走
「もしもし、もしもし! ペットレスキューさんかしら? うちに空き巣が入って、ネコが出て行っちゃったんですよ?」
正月早々、1月3日の晩に電話が鳴りました。応答した瞬間、いきなり女性が叫んでいる声が耳に飛び込んできたのです。
あまりの勢いに何を言っているのか、まったく訳がわかりません。110番にかけようとして間違ったのか、よほど動転して取り乱しているのか。どちらにせよ、ただ事ではなさそうです。黙って聞いていると、やはりペットレスキューへかけてきているようなのです。
「まあ、ちょっと落ち着いてください」
女性をなだめながら、少しずつ話を聞き出していきます。そして聞くうちに私の正月気分はすっかり覚めていきました。
名古屋在住の山崎さんは、旦那さんと二人で年末から正月にかけて恒例の温泉旅行に出かけていました。ところが留守宅に空き巣が入り、割られたガラス窓のすき間から、飼い猫が逃げ出したということでした。ちょうど元日だったといいます。