合格率数%という難関を突破した末に約束されていた高年収。そんなプラチナ資格の一部試験では制度の見直しが行われ、存在意義そのものも大きく変わりつつある。
司法試験の歴史において、今年の試験結果ほど注目されたものはないだろう。弁護士の急増にともなう質の低下が問題視され始め、7月に日本弁護士連合会は司法制度改革の根幹をなす法曹人口増員のペースダウンを提言。当初2100~2500人と計画されていた今年の新司法試験合格者数は、「よくて2100人」(日弁連関係者)と見られていた。ところが、いざ蓋を開けてみると合格者は2065人にとどまり、改革にブレーキがかかったことを明確に示した。
このあおりを受けて、合格率は昨年の40.2%を大幅に下回る32.9%に低下。司法制度改革の策定のなかで想定されていた「約7~8割」という合格率の半分にも満たない水準だ。また、法科大学院修了後、5年以内に3回の受験で合格しないと受験資格そのものを失う“三振制度”に引っかかった受験者が172人も出ており、改めて厳しい試験であることを思い知らせる結果となった。
法科大学院別のランキングで見ると、トップは初めて200人の大台に乗せた東大。それを猛追するのが、昨年比43人増で196人の中央である。この中央については、「学費免除などの特典をつけ、東大や早稲田などから成績優秀者をかき集めている。中央の学部から上がってきた割合は意外と低い」(有力法科大学院関係者)といわれる。合格実績のアップは、入学者を確保して、安定した大学院の経営を行うためには必要なのだろう。