総務省の調査によると、2007年の転職者数は346万人。これはバブル期を100万人以上上回る数字だ。はたして転職に有利な学歴はあるのか? 人材紹介に携わる専門家たちに聞いた。
上智、ICUが外資コンサルへの境界線
「東大以外が有利になることはありません。まず、そこを認識すべきです」
人材紹介会社ムービン・ストラテジック・キャリア社長の神川貴実彦氏は、こう言い切る。ビジネスの世界では、東大の中でも、法、経済、最近では理系出身者が特に有利だという。
「私が今まで何千人と会ってきた中でも、国立大学の理系学部を出た人は頭のいい人が多い。大学時代も含めてよく勉強しているので、企業の評価も高くなります」
『年収2000万円の転職術』(弊社刊)の著書を持つ神川氏の会社は、マッキンゼーやボストンコンサルティングをはじめとする戦略系ファームや外資系の投資銀行など、高収入を稼ぐことのできる企業へ人材を多数送り込んできた。こうした企業への転職を果たせば、多くの場合、20代後半でも1000万円を超える年収を稼ぐことができる。億単位の年収をもらう転職者も少なくない。
「ただし、東大ブランドが使えるのは20代のうちだけ。1番学歴が利くのは新卒のときだと思ってください。30を過ぎると転職を学歴だけで乗り切ることは難しく、実績や経験などの付加価値が当然必要になってきます」(神川氏)
神川氏によると、外資系のコンサルティング会社や投資銀行に転職する人は、東大のほか京大、一橋大、東工大などの国立大学の出身者が多数を占める。続いて、慶應経済・理工、早稲田政経・理工など(図1)。
「ほかには、上智大やICUの出身者がパラパラいる程度。これ以外の大学の出身であれば、MBAのトップ校出身であるとか、メガバンクの企画部門で高い実績をあげたなどの“お化粧”がないと、難しいでしょうね」(神川氏)