無印良品がアジア新興国でヒットした理由

良品計画の成長は、無印良品のブランドイメージの育成抜きにして考えられない。まず、無印良品はわが国においてその人の価値観に合った生き方を支える商品を提供することで成長してきた。それが、アジア新興国などでのヒットにつながった。

無印良品とは、大量生産・大量消費とは異なるライフスタイルを提唱し、シンプルな機能やオーガニックコットンなどの素材の風合いなどを、長く味わう楽しみを人々に提供することを目指したブランドといえる。このコンセプトのもと、良品計画は、さまざまなシーンに調和し、長く使い込むことのできる製品を生み出そうとしてきた。

そのために同社は、細かなデザインなどに気を配り、利用者にとって使いやすく、生活になじむ製品の開発を目指し、提供してきた。このコンセプトが消費者の共感を得て、無印良品は安心できるといった印象が醸成された。その結果、無印商品の商品は量販店の品物よりもやや割高だが、使いたいと思う人が増え、良品計画は持続的な成長を遂げてきた。

「少々値段が張るが量産品よりも使い心地が良い」

海外でも、このブランドイメージは消費者を魅了した。2005年に良品計画は中国に進出した。その際の設定価格は、国内での販売価格よりも高かった。その後、無印良品は日本での生産や規格に基づく安心・信頼できるブランドとして認知され、ヒットした。

また、新興国の消費者にとって無印良品で買い物をすることは、憧れの日本企業の商品を手に入れるという喜び(消費体験)を体現する機会にもなっただろう。その後、徐々に良品計画は価格の改定を進め、新興国の中間層の拡大に沿った売り上げの拡大を目指した。

中国やマレーシアなどアジア新興国在住の知人と話をすると、「少々値段が張るが量産品よりも使い心地が良い」「無印良品で買い物をすると、日々の生活の楽しさや充実感が増す」との印象をよく耳にする。無印良品の商品はかなりの人気を得てきたことがわかる。市場参加者の中には、「無印良品はアジアの有名ブランドに成長したと評価できる」と指摘する者もいる。