中国は、赤い国旗や中国共産党がシンボルカラーに赤色を用いるなど、“赤”のイメージが強い。しかし、ジャーナリストの中島恵氏は「日本側がおもてなしとして用意した赤一色の装飾に白けるほど、中国人の色に対するイメージは変わってきている」と指摘する――。

※本稿は、中島恵『中国人は見ている。』(日本経済新聞出版社)の一部を再編集したものです。

撮影=中島恵
春節の1カ月ほど前から、中国の百貨店やスーパーに行くと、真っ赤な下着が大量に売られている

中国のお正月は部屋もお年玉袋も真っ赤

もうすぐ中国の春節(旧正月)。今年は1月24日から30日までの7連休となります。大みそかは24日、春節の1日目は25日ですが、実際にはその2週間以上も前から「春運」というお正月に帰省する人々の民族大移動がスタートしており、中国は早くも春節ムードに包まれています。

中国の春節といえば、日本人の皆さんは何を思い浮かべるでしょうか? 激しい爆竹の音や真っ赤な飾りつけ、大混雑する空港……、最近ではウィーチャット(中国のSNS)を介した紅包(ホンバオ)と呼ばれる「電子お年玉」が飛び交っている様子を想像する人もいるかもしれません。

日本の報道でも中国の「真っ赤」な飾りつけはよく目にします。中国で赤は財運や吉祥を表す「おめでたい色」とされるからです。そのため、長い間、さまざまな場面で多用されてきました。

2019年12月に発売した『中国人は見ている。』で詳しく紹介していますが、春節、結婚、開店などの「ハレの日」、中国では必ず赤いもので壁や柱を飾りつけます。中国語で赤色は「紅色」(ホンスー)といいます。結婚は「紅事」(ホンシー)、お年玉やご祝儀の袋は「紅包」(ホンバオ)、子どもが生まれたときに親戚や同僚に配る卵は「紅蛋」(ホンダン)といいます。まさに赤のオンパレードです。