「歓迎光臨」の垂れ幕や装飾に白けてしまうワケ

2015年の爆買いブームのころから、日本の観光業界では毎年増え続ける中国人観光客を当て込んで、春節シーズンに「春節快楽、歓迎光臨」(春節おめでとう。いらっしゃいませ)という垂れ幕をかけるようになりました。日本人もそうした赤や黄色の派手な装飾を街で目にするようになって「あぁ、そろそろ春節の時期がやってきた」と感じるほど。

赤が好きな中国人に喜んでもらおうと始めたサービスの一環でしょうが、残念ながら、私が知る限り、こうした装飾に対する中国人の評判はあまり芳しいものではありません。

中島恵『中国人は見ている。』(日本経済新聞出版社)

2019年の春節のとき、蘇州からやってきた友人からは、「せっかく日本にきたのに、これじゃあ、なんだか白けてしまうわ……中国にいるみたいじゃないの」という愚痴を聞かされました。

これまで何度も日本に遊びにきていた友人は、「日本のシックで落ち着いた建築やセンスのいい内装をとても気に入っていたのに、派手な装飾の多さにびっくり。日本のお正月は新暦でしょう? なぜここまで中国のお正月を意識し、中国的な真っ赤な飾りつけをするのでしょうか?」といったのです。

「中国人が喜んでくれるはず」と思っていた日本人にしてみれば、意外な反応かもしれませんが、私たちが海外に行って、日本人観光客に迎合するような“なんちゃって日本風”ばかりの看板や装飾(しかも、本場とはちょっと違う……)ばかりが目についたら……と考えたら、この中国人の気持ちも理解できるのではないでしょうか。

このように、色に対する認識ひとつとっても中国人は変化してきていますが、その一方で、今でも変わらないことがあります。そのひとつが「数字」に対するこだわり。次回は、中国人と数字についてお話しましょう。

【関連記事】
"月収20万"でも東京で豪遊する中国若者の正体
海外富裕層が日本のコンビニ飯に感動した理由
ダイソンを超えた掃除機、ヒットの意外な秘密
一流のリーダーは「で、どうしますか?」と聞く
「宝くじ1等6億円」確実に当選する方法