こうした強豪に打ち勝つため、フィンエアーが重視したのが乗り継ぎ需要の掘り起こしだ。日本から乗り継いで行けるその先はフィンランド国内線のほか、ヨーロッパ、中東方面は116都市に上る。

提供=フィンエアー
乗り継ぎネットワーク

そのネットワークを生かす拠点空港の施設も重要となる。ヘルシンキ・ヴァンター空港では2014年にターミナル拡張を開始し、2022年まで工事を完了させる計画だ。以前ほどのコンパクトさはないが、全ての出発ゲートがフロア続きで乗り継ぎ時間が短くて済むよう改装されている。

そもそも、ドイツの経済規模はGDPで4兆ドルとフィンランドの14.5倍に上る。JETROの調査では、フィンランドへの日系進出企業数は180社、在留邦人数は1825人。ドイツは企業数で8.4倍、邦人数で25倍も多い。

フィンランドにビジネスパーソンの渡航が多いとは言えず、急拡大も見込めない。観光客数もドイツやフランス、スペイン、イタリアに比べれば少ない。しかし、フィンエアーは日本と欧州を「最速最短」で結ぶ航空会社であるとアピールすることで、欧州方面に向かう乗り継ぎ客を取り込むことに成功したと言える。

実際に乗ってみて体感できる「最速最短」

欧州への渡航は誰もが長時間のフライトを覚悟する必要がある。おおよそ12時間というのが、ロンドン、フランクフルトやパリまでの所要時間だ。個人的所感だが、10時間を超えると身体的苦痛は加速度的に増すように感じる。深い呼吸を繰り返したり、足がむくんだりする。これは筆者周辺にいる出張頻度の高い知人も同じように口にする。

筆者も実際にフィンエアーで欧州に飛んだ。

昨年12月中旬。正午ごろ成田ターミナル2から出発したフィンエアー機は、左手に富士山を遠方に見ながら新潟を通り、ハバロフスクからロシア、北極圏を通る最短距離で欧州を目指す。西へ向かうので、陽は落ちるが最後まで完全に暗くなることはない。

機内サービスは「マリメッコ」や「イッタラ」などブランドを取り入れ、女性の気を引いているようだ。さわやかで付かず離れずの接客は、突き抜けた印象に残るサービスというよりは、気をつかわず利用できるエアラインである印象を受けた。

筆者撮影

「もっとゆっくり飛んで寝かせてくれ」

現地時間の15時過ぎ、ヘルシンキ・ヴァンター空港に到着。10時間で到達する欧州があることに感動した。今回はそのままドイツ・ハンブルクへ足を伸ばすことにした。

2時間の乗り継ぎはあったが、空港ターミナルビル内で乗り継ぎ時間を使いマリメッコやイッタラのショップを見ることができた。子供のいる家庭には、ムーミンショップもいいだろう。